HAND & SOUL「モノ」がたり 5 <拾った顔>
今やジイジ&バアバの生活は、金土日がショップDAYで月から木がワーキングDAYとなりました。
そこで今週火曜日にちょっと足を延ばして沼津の千本浜に行ってきました。流木など作品の素材探しです。
富士山と松林を背負って駿河湾にのびる長い海岸線は小石なので漂着物がきれいなのです。
成果はあまりパッとしませんでしたが、どこに行けば必ず何かがあるというものではないのがこの作業なので慣れっこになっていますが、傍から見たらわれわれは老いた二人のクズ拾い以外には見えないでしょう。
この日のベストゲットはワイヤーの巻き取り輪(正式にはなんて言うのか知りませんが)の板でした。
以前にシンガーミシンの脚とこの手の板を組み合わせてつくったテーブルが売れてしまったので、少し残念に思っていたところでした。
ところでこの円板、テーブルトップとして拾ったつもりですが、向きによってなんともユーモラスな表情で何か言いたげな面持ちです。
何かが見方によって顔に見えるということはよくあります。「見立て」というのでしょうけど、日本人は昔からこの見立てが好きです。
庭に石と砂利を置いて大海原に見立てるとか、噺家が手拭を箸や煙管に見立てるとか、全国になんとか富士が存在するとか…。
なかでも顔に見立てるというのは、見立ての一番初歩でしょう。
丸い点が二つ並んでいれば何でも顔に見えてしまいます。
大学で学生とよく顔の見立て遊びをしました。夏休みにそれぞれ思いがけない「顔」を写真に撮って持ちよるのです。
複眼の視点、イマジネーションの拡張、頭の柔軟性の訓練などいろいろ理屈はつけられますが、なにより楽しい視覚遊びとして結構人気がありました。
拾ってきた円板、テーブルにするのは少し後回しにして、しばらくは店の外壁に置いておいて近所の子供たちを楽しませてやろうと思っています。
by love-all-life
| 2009-05-24 00:55
| 「モノ」がたり