HAND & SOUL

アヌ・トゥオミネン

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かって教鞭をとっていたデザインの大学で、建築系の学科の1年生の実習科目に「椅子」をつくる授業がありました。デザインを学び始めて間もない学生が、オリジナルの椅子をデザインし実際につくるという課題です。
学生たちがまずぶち当たるのが「アイディアの開発」という壁です。古今東西の歴史のなかで星の数ほどの椅子のデザインが既に存在しているだろうに、さらに今までにないオリジナルなデザインなど果たしてこの世にあり得るのだろうか、そんなもの自分が考えられるはずもないという絶望感にも近い悩みです。
悩んで,悩んで、自分の才能の乏しさに苦しみながら、とにかく締め切りまでになんとかデザインし、馴れない工具と格闘しながら、おそらく生まれて初めての椅子をつくりあげます。
ところができ上がった作品を観ると、どうしてどうしてかなりの数の傑作が並んでいます。学生たちの顔からも当初の当惑となさけない表情はすっかり消え、一様に満足げな達成感を感じている風です。
彼らは「新しいアイディア」に到る道に立ちはだかる大きな壁を通り抜けようとして、よじ上ったり、歩き回ったり、槌で叩いたり、ありとあらゆる努力をしてついに突破する隙間を見つけたのです。そして「新しいアイディア」に到る道は必ずどこかにあるものだということを知り、壁の向こう側の輝かしい世界をかいま見たのです。こうして彼らは「創造」という魔境に魅了されていくのです。

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こんなことが頭に甦ったのは、お気に入りサイトのFさんのブログにアヌ・トゥオミネンというフィンランドのアーティストが紹介されていて、彼女の作品の眩しいばかりのアイディアの輝きに接したからです。
彼女の創造の素材となるのは、毛糸だったり、小枝だったり、調理用具といった日常のごくありふれたものばかりです。つまりHAND & SOULのモノづくりと同じ土俵で仕事をしています。しかしその作品は同じ土俵でこんなパフォーマンスがあり得るのかという新鮮な驚きの連続です。その表現が醸し出す軽み、繊細、上品、ユーモアには「ごめんなさい、まだまだ至りませんでした。」と脱帽する一方で、よし!まだまだやることはあるんだと励まされます。

HAND & SOULのサイトを訪れてくれた皆さんにもぜひ彼女のことを知ってもらいたいと、Fさんの許しを得て、彼女のHPや展覧会のサイト・アドレスをお知らせします。
あとは皆さん自身でお楽しみください。
[ジイジ]

2006年の展示風景 → http://www.art-u-room.com/exhibition_jp/06_10kitchen.html
2008年の展示風景 → http://www.art-u-room.com/exhibition_jp/08-04forester.html
アヌ・トゥオミネン作品 → http://www.art-u-room.com/tuominen/tuominen.html

Anu Tuominen HP → http://www.anutuominen.fi/index.html

写真: Anu Tuominen作品(上)Forest Owner(2008) (下)Color samples for kitchen(2006)
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by love-all-life | 2009-09-29 15:08 | 文芸・アート | Comments(0)