HAND & SOUL

HAND & SOUL「モノ」がたり 43 <SAN-AI学校卒>


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ジイジとバアバの出会いは1959年。東京オリンピックのはるか前、まだ車社会も新幹線もなく、奇跡の経済成長がまさに始まろうとしていた、まあ別の国のような日本でした。
その年、別々の美術系大学を卒業して就職したのが同じ会社だったのです。
三愛という銀座四丁目の角の婦人専門の衣料雑貨のデパートのような店の宣伝課でした。東京も青山や六本木などはまだ郊外といった感じであちこちに畑が点在しているようなところでしたので、オシャレな買い物というと銀座と相場が決まっていました。
三愛はそんなオシャレの中心地にあったので、宣伝課員といってもお客さんを集める宣伝の仕事より、銀座通りを歩いている若い女性をお店に誘うウィンドウや店内のディスプレーが主たる仕事でした。
伊藤精二さんという課長さんがアート・ディレクターで,2年先輩にはクラマタ・シローさんがいて、1年後輩にはこの1月に他界したグラフィックデザイナーの小島良平さん、商品企画部門には高田賢三、松田光弘さん(NICOLE)など後年名を成した若者たちがいて多士済々した。

お向かいの和光やその先のミキモト真珠店はお金をかけた凝ったディスプレーをするので有名でした。三愛も場所柄負けてはいられないのですが、予算の規模が違うのでなんとか低予算で対抗しなければなりません。
和光の金属製のピカピカのディスプレー台、樹脂成形の小道具、特性のマネキンを使った絢爛豪華が売りのウィンドウに対し、われわれが飾り付けに使うものといえば、ベニヤ板のマネキン、ベニヤの表示板、色紙、切抜き文字、キビガラ、テングス、ヒートン・・・それも一度使って施工業者の倉庫に保管してあるものを再利用するという節約ぶりです。必然的にアイディアや色の取り合わせ、モノの位置関係などお金のかからないことろに時間をかけます。ディレクターの伊藤さんはひとつのハンカチをウィンドウの中に置く場所を決めるのに1時間もかけます。そんな課長さんの空間創造の態度は新人のわれわれにとってありがたいレッスンでした。ジイジは三愛に1年半、バアバは3年しかいませんでしたが、なんだか10年以上三愛で仕事をしていたような気がするねというのが共通の感覚です。三愛という職場はジイジ・バアバにとって創作活動の原体験だったわけです。

50年たっては再びお客さん相手のモノづくりの暮らしに戻ったわけですが、気がつくと手近で安い素材からいかに楽しくて小洒落たモノを生み出すかに夢中になっている自分に、改めて伊藤さんの教えから一歩も出ていないなと実感している毎日です。「課長ッ、ありがとうございました!」

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以前にご紹介した、作りかけのランプに遊び心を加えてお店に置きました。「遊び」は人生を豊かにする最良のクスリであり、人の心を開いてくれるというのも伊藤課長の教えのひとつです。

写真左:ヨット遊びのランプ    巾26cm×高さ40cm  ¥18,000
写真右:流木人形のブランコランプ 巾15cm×高さ42cm  ¥16,000
カット写真:三愛時代に使っていたと同じタイプのベニヤのマネキンをHAND & SOULで使っています。
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by love-all-life | 2010-03-20 18:40 | 「モノ」がたり | Comments(2)
Commented by remmikki at 2010-03-24 09:08 x
初めて伺いました。すばらしいお話ありがとうございます。スタンドもとっても素敵。いつもブログを楽しませていただいてます!
Commented by love-all-life at 2010-03-24 13:27
どうしても昔話が多くなってしまいますが、コリずに付き合ってくださってありがとございます。これからは次々と花が楽しめる季節となりました、ぜひまたお越しください。