HAND & SOUL

HAND & SOUL「モノ」がたり 48 <アフリカのカゴ>



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「えー、みなさんこれを見てください。プロジェクターで写しますよ、美しいカゴでしょ。実物は後で教壇の方に来て手に取って見てください。
これはアフリカでつくられたものなんですが、ボクはこれを東京のデパートで買いました。売り場に書いてあった、これがつくられたイワクが気に入ったからです。

その話というのは・・・・
ひとりのイタリアのデザイナーがアフリカの奥地を旅していて、ある集落で使われているカゴの美しさに打たれました。ところがそこはまだ文明の光が届いていない奥の奥なので電気も水道もなく、衛生状態がよくなくて、疾患をもった子供たちも多く医者もいません。そんな窮状を見た彼はあることを思いつきました。
アイディアというのは、自分の住まいの近くに電話会社があって、彼はその裏庭に廃品となった電話線が山積みにされているのを知っていたので、その電話線を運んで、集落の人たちがカゴをつくって観光資源にしてはどうかと考えたのです。電話線というのは中に何種類かのキレイな原色のワイヤーが入っているんですね。その色線を使って集落の伝統的なパターンを編み込むというアイディアです。
そうして出来たのがこのカゴです。民芸品の泥臭さとも違う、工業製品の冷たさとも違う独特の美しさです。素材がワイヤーですからとてもしっかりしています。
これは世界各地に輸出されて、かなりの収入を得て、井戸を掘ったり診療所をつくることができ、集落の生活改善を果たしたというわけです。

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このイタリア人がデザイナーでなければ、彼がたとえ集落の窮状を見ても、また近くに電話線が山積みされていることを知っていても、このようなアイディアを思いつくことはなかったでしょうし、文明に取り残された村の窮状が救われることもなかったでしょう。
これはデザイナーだからこそできた社会貢献のひとつの例です。

「美しさを求める心」「人の暮らしへの洞察」「柔軟な発想」、そしてこれからのデザイナーに特に求められるのは「社会貢献の精神」であることを忘れないでくださいね。」

以上は、かってのジイジの「デザイン概論」の授業のひとコマでした。
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by love-all-life | 2010-04-28 09:08 | 「モノ」がたり | Comments(2)
Commented by remmikki at 2010-04-29 10:48 x
すばらしい!色彩もデザインもステキ!
Commented by love-all-life at 2010-04-29 13:34
でしょ!