HAND & SOUL

カマクラある記 12 <砂茶わん>




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海岸の漂着物に興味をもちはじめた頃、波打ち際に黒いゴムの帯を短く切ったものをクルリと巻いたような物体が一面に散らばっているのを発見しました。沖で船が座礁でもして積み荷の工業製品が岸辺に流れ着いたのかしらとなどと思いながら近寄って見ると、それは濡れてつやつや光って見えましたがゴムではなく砂でできていることがわかりましたが正体はわかりませんでした。その後ビーチコミングの会に参加したときリーダーの海洋研究員の方にあれは一体何だったんだろうと聞いてみたら、
「あ、砂茶わんですよ」と教えてくれました。そう言えばお椀を伏せたような形とも言えなくもありません。
「ツメタガイの卵なんです」
「エっ、あれが貝の卵??」
「砂を分泌物で固めて卵をその中に練り込むんでああいう形をつくるのです」
「?、 そうなんですか!」というわけで正体はわかりましたが、
目も手もない、もちろん道具も使わず殻をとったらギニャグニャの軟体動物が一体どうやってあんなに精巧な造形物をつくることができるのだろうか、驚きと言うほかありません。

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砂茶わんは、砂でできた底がない赤ちゃん用のお椀のような形で一方が開いています。伏せたお椀の下の縁は波形のフレアになっていてちょっと洒落っ気を感じさせます。観察していると、波を受けて波打ち際まで運ばれてきますが一方が開いていることが水を受けるのに具合がよく機能するようです。そして寄せては返す波に揺られているうちに次第に砂の中に埋没していきます。ここでは波形のフレアが役立っているように見えます。これはまったくジイジの個人的な見解であって学術的な裏付けははありませんが、そのように考えて見ると砂茶わんのフォルム、構造などすべてが類い稀なデザインの成果あるように思え、こんなすごい仕事をあのグニャグニャ野郎が成し遂げられるはずがない、どこかに全てを超越した創造の主の存在を感じざるを得ません。

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ところで親のツメタガイですが、わりあい何処にでもいる巻貝の一種で、獲物の貝を見付けると強い酸性の液体を噴射して相手の殻に穴を開け、中の実を吸い取ってしまうという結構なワルなのです。海岸で貝殻など拾っていると穴の開いたものがありますが、あれがツメタガイの仕業です。

近頃は砂茶わんを見つけることも少なくなってしまいました。以前はあれほど海岸に散らかるようにあったのに、今朝の散歩では由比ケ浜、材木座合わせて4キロの海岸線を歩いて見つけたのはたった1個だけ。(一番上の写真)
ツメタガイが減ったのかそのエサになる桜貝などの貝類が減ったのか、いずれにせよ海岸の生態系が侵されつつさることは確かです。そして見たのです、ツメタガイなんか足下にも及ばないワルを。
それは海水浴シーズンの海岸整備と称して波打ち際を走り回るトラクターの傍若無人の姿でした。

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by love-all-life | 2010-07-18 22:18 | カマクラある記 | Comments(0)