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HAND & SOUL

茹でカエル症候群

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「茹でカエル症候群」というのをご存知でしょうか。
カエルを熱湯に入れると熱くてすぐに飛出し一命を取り留めます。しかし水の中に入れて徐々に温めると、カエルは気持よく泳いでだんだん温まってきても気付かず、そのうちに茹で上がって命を落とします。
環境の変化に鈍感な組織への警句として、企業や自治体の危機管理の話によく使われます。
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毎日の新聞でフクシマ原発の記事を追っていてしきりと思い出すのがこの茹でカエルの話で、いま日本国民はまさに釜に放り込まれたカエルなんだなと思うのです。
問題は、福島第一原発の始末に負えない惨状をわれわれが熱湯と感じて飛出すか、それとも、なにやら水が少し温かくなってきたがまだ大丈夫、エネルギーを使い放題の心地よい日頃の生活から抜け出すのはゴメンと、汚染水のなかで泳ぎ続けるのか、ということです。
危険だと気付いていても原発釜から今すぐきれいさっぱり抜け出すわけにもいかないという事情があるにしても、飛出すという決断をすることが肝心です。そうい意味で管さんの浜岡原発操業停止の決定は評価できます。

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東日本大震災発生以来、悲惨な境遇にもかかわらず被災者の示す忍耐と自制の態度に世界から賞賛とエールが寄せられていますが、片や災害対応や情報開示について、東電と政府のだらしなさへのブーイングは高まる一方です。
複雑怪奇な大災害への憤懣の持って行き先が、当面の治世者に向かうのは致し方ないにしても、彼らの脚を引っ張るようなことは賢いことではありませんし、復興の道のりを長引かせるせることにしかなりません。
ボクは管政権は、これだけ無能者扱いをされ、党内外の障害や抵抗に耐えてよくやっていると思っています。むしろ日本人のガバナビリティ(被統治能力)の貧困を見る思いです。とりあえずいま汗を流している当事者の側に立つことこそが、被災者でもない、当事者でもない一般の国民が果たすべき復興支援ではないか。そういう意味で、いまの野党の態度や民主党内部の反抗勢力と称する輩の言動には失望を禁じ得ません。彼らの関心事は、日本より党であり、国より自分の利益、政治屋であって政治家とは到底いえないと感じます。
政治に暗く、そういう発言は極力避けていたジイジとしては、思わず口が(指が?)滑ってしまいました・・。

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カエルの話に戻すと、東電が原発災害について、どれほどの予知能力をもち、どれほどの情報持っているか隠しているか、本当のところよくわかりません。はっきりしているのは、いままでわれわれが信じてきた、あるいは信じたがっていた「安全神話」が完全に崩れ去ったということです。そうである以上われわれとしては、いままで浸かっていたぬるま湯は早晩熱湯に急変すると自覚して、この釜は危険と脱出の決心を固めるしかありません。

なぜなら飛出すことは自らの命を救うだけでなく、まだ生まれていないカエルが被害者になることを避けるためにもです。
by love-all-life | 2011-05-19 12:04 | 時事・社会