HAND & SOUL

貪欲であれ、愚かであれ。

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昨日朝メールチェックをしたときには、何事もなかったのに、夕方、一日のとりとめもない作業を終えて、卓上のMacBook Proをスイッチオンしたとたんに場面一杯にスティーブ・ジョブズの胸像写真が現れてドキッとし、横にSteve Jobs 1955-2011 の文字を見た瞬間に事態を理解しました。

個人的に付き合いのない人の死にある種のショックを受けるのは、最近ではオサマ・ビンラディン、古くは三島由紀夫の名が脳裏をよぎります。決して神のように崇拝していたというわけではないのですが、彼らの存在が当方のそのときそのときの価値観や美意識のある部分を支えていたということでしょうか。
スティーブ・ジョブズについていえば、彼の生きざまや言動はつねにカッコよかったし、生み出す製品の革新性も型破りではありますが、 ジイジにとって彼はデザインの存在意義や魅力を具現化したヒーローということになります。

長年デザイン関にわりをもってきた者として、彼の大きさはデザインの力が企業を変え、人々の仕事や生活を変え、世の中を変えることができることを実証した数少ない人物のひとりと思うのです。
最初に手にしたパソコンから現在までMacに忠誠を尽くしてきたのは、コンピュータ音痴でも使える道具という機能面と、すっきりとシンプルなフォルムというデザインの要件を満たしているという以上の何かを感じるからです。それはあえて言えばチャームとでも言うのでしょうか、親しく付き合っていたい友人に対して抱く感情のようなものです。
この気持を適切に代弁してくれている言葉があります。テレンス・コンランがグッド・デザインとは何かを語った言葉です。

「デザインは98%常識であると考えたい。しかしデザインをこれほど面白くやりがいある作業にしているのは残る2%、すなわち「美意識」と呼ばれるものである。98%を達成している製品は大体「よい」ことは明白である。だが残りの2%こそ、製品をまったく別のカテゴリーに引き上げる魔法の成分である。この2%こそが、水準は満たしているというものと、えも言われぬ特別の製品で誰でもが欲しいと思うものとの差を生むのである。
魔法の成分があるだけで、生活の質がずっと改良される。人々がその製品を使うと幸せになり、うれしくなるのは、単にその製品が充分機能を果すからというだけでなく、精神を高揚させ、ただ不満がないというだけでない積極的な喜びを与えてくれるからである。」

この言葉がスティーブ・ジョブズにそのまま当てはまらないのは、彼の仕事が常識を超えることからスタートしているという点でしょうか。
「貪欲であれ、愚かであれ。」と、彼が胸をはって宣言できる所以でしょう。
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by love-all-life | 2011-10-07 09:07 | 文芸・アート | Comments(0)