HAND & SOUL

蟻が十なら・・・

e0153357_19544455.jpg






もの忘れをよくします。起きている時間の半分は何かモノ探しをしているのではないかと思えるどです。いま読み終えた本に何が書いてあったか思い出そうとしてもかなり危ないのです。それで新聞や本を読んで、これはと思う記述に出会ったときは、スキャンしたり、パソコンにメモを残したり、何かの時に備えるようになりました。いわば備忘録ファイルをつくるわけです。
ところが何を記録したかの記憶もかなり危ないので、ときにチェックしたりするのですが、すると、「ふむふむ」、「はるほど」と改めて感心したり驚いたりするのですから世話ありません。

ま、そんな備忘録から取り出した、新聞の投書欄の記事です。



「蟻が十なら芋虫いくつ」
パート 佐古勇治(東京都世田谷区 55)

特別養老老人ホームで働いて1年数カ月が過ぎました。つらいこともあれば、楽しいこともあり、他の職種と変りません。
でも、先日、ちょっと変ったことがありました。ある夜、お年寄りの女性が氷をほしいというのであげると「蟻が十(ありがとう)なら、芋虫は二十」と言ったのです。驚きました。何年ぶりに聞いたでしょう。母がよく言っていた言葉なのです。
その女性に親しみを感じ、ここで働いていてよかったと思いました。当時、心が少し不安定になっていた私に、この言葉は助けとなってくれたようです。
「ありがとう」という言葉が好きで、両親に線香を上るとき、また役立ってくれた物を捨てるときなどに、私は「ありがとう」と言います。でも、面と向かって言われると、逆に照れるときもあります。そんなとき、「芋虫は二十ね」と返せば、相手にユーモアが伝わるかもしれません。
今後、ゴミを捨てるとき、私が「ありがとう」と言ったら、そばでカラスがそれを聞いて、「芋虫は二十」と言ってくれないかな。



こんな風に、子どもがおもちゃ箱から宝物を取り出して悦に入るように、ときどき備忘ファイルから言葉を取り出して、何度もホットしたり、ハッとしたりできるのも、物忘れの効用かもしれませんよ。

写真:北鎌倉の旧北大路魯山人邸の裏山からの尾根道。記憶の細道のように思えたので・・・
[PR]
by love-all-life | 2011-12-15 19:56 | その他 | Comments(0)