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HAND & SOUL

バアバの「雛展」間近

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バアバこと内藤三重子の「雛展」が近づきました。
バアバがお雛さまをつくり始めて12、3年ほどでしょうか。最初は流木の胴体にアイスクリームのスティックを手足にして、手持ちの手拭でつくった着物を着せて、初の女孫のためにつくりました。それを見た次男の友だちにせがまれて翌年娘さんのためにつくり、またそれが次のリクエストに繋がり・・・といった具合にだんだん数が増えて、毎年展覧会をするようになりました。鎌倉や長岡の何カ所かで展示していただいていますが、幸か不幸かどれも人手に渡って、結局手許にはバアバのお雛さまは一体も残っていないのです。

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最初の雛をつくった孫もいまはバトミントンの部活に明け暮れ、よしもとばななを愛読する中学生。バアバの雛づくりもいまやベテランの域に達したかというと、必ずしもそうではないようです。
毎年梅雨が明ける頃からお雛さまにかからなくてはと言い始めて、実際に手が動き始めるのが秋。桂の角材で頭を彫り、小さな手足を何組もつくりますが、毎年少しずつ形が異なるのです。同じものができないのではなく、つくらないようにしている風なのです。やがて長年人からいただいたり集めた古布を押し入れから出して眺めて過ごし、江戸期の布を観てはやはり古い布はいいわねぇとため息をつくのです。お雛さまの着物づくりにはとても長い時間をかけ、目が悪くなったとか歳ねぇとか言いながら、着せ替え遊びをする少女のように楽しんでいるように見えます。
この間ジイジはなす術も無く、これで会期に間に合うのかとハラハラするばかりですが、ただ分かってきたのは、バアバのお雛さまの人気は、いまだに最初のお雛さまをつくるときの作者のためらいや逡巡のような趣をわずかに留めていて、どこかにただよう未完成の初々しさみたいな魅力から生まれると感じるようになりました。それはあたかも人のチャームが完全無欠な美からではなく微かな欠点から生まれるように。
本人は「上手につくろうと、いつも思っているのだけど」言っておりますが・・・

展覧会のご案内
内藤三重子の「雛展」1月31日(火)〜2月5日(日) TAMBOURIN GALLERY (http://tombourin-gallery.com)
by love-all-life | 2012-01-21 23:39 | 「モノ」がたり