HAND & SOUL

はぐれカラス



e0153357_1811393.jpg






お天気情報が台風4号の接近で注意を呼びかける朝、庭でギャーギャー普段と違うカラスの声がするので見ると、子ガラスが一羽ガーデンチェアの上で啼いています。
毎日うちにやって来てはやっと実をつけたトマトを採っていったり、庭で食事をしているとスキをみてお皿上の食べ物をさらっていく無法者の夫婦カラスが育てていた赤ちゃんカラス違いありません。
巣立ちに失敗し力つきて巣に戻れなくなったもののようです。どこか悪いのか、ケガでもしたのか、声の限りをつくして親に助けを求めています。

e0153357_18134556.jpg

















親カラスが時おり近くの枝までやってきますが、子カラスといってもすでに親鳥と同じほどの大きさなので、くわえて連れ帰ることもできず、自力でなんとかするのを見守るばかりです。そうなると近くまで来ても助けてくれない親を恨めしげにいっそう声を高く啼きます。
人が近づいても弱っているのか逃げようともしません。ペット病院へ運び込もうかとも思ったのですが、親も知っていることだし、野生の世界にいらぬ干渉は禁物と、とにかく様子をみることにしました。
夕方になっていつのまにか子カラスの鳴き声もしなり、無事巣に戻れたものと思っていました。

その晩は夜を徹しての猛烈な風雨で、朝になってやっと風も静まり、庭に一面に散った落ち葉と折れ枝を片づけていると昨日の子カラスが植木鉢の隅にうずくまっているではありませんか。
昨夜はとうとう巣に帰ることができずに、あの強い風雨に耐えてわが家のどこかで一夜を過ごしたのです。
あきらかに昨日より衰えた様子で、そばに寄っても頭をこちらに向けるだけで、警戒心を起こす気力さえないようです。
起きてきた孫のE子は、ずる賢く手をやいているカラスが、弱々しく逃げもせずうずくまっているのを見て、可哀想と思う気持と、まだうちにいてくれた嬉しさがない交ぜの興奮状態です。

e0153357_18144396.jpg














E子が食パンのクズを手のひらにのせてやると、よほど空腹だったのか素直に啄みますが、まだ固形物を食べることに馴れていないのか上手に呑み込むことができません。ついに見兼ねてパン屑を細かく砕いて牛乳で溶かして空缶に入れて前に置いてみました。すると突然親鳥が舞い降りてきたのです。子カラスはこの時とばかり大きな声で叫んで親鳥にすがりつこうとします。ところが親鳥は一瞬子ガラスに注意を向けたものの、なんと缶の中の牛乳パンを食べはじめ、食べづらいとみるや缶ごとくわえて飛び去ってしまったのです。
哀れな子カラスを置き去りにして、なんと薄情で下品な親カラス奴!

その日は結局一日子ガラスはうちの庭でうずくまり、時おり親鳥が近づいたときだけ弱々しくも必死で救いを求める声をあげていましたが、体力を温存していたためか、夕方になってやっと庭木の枝まで飛び上がり、暗くなる頃には姿を消しました。
果たして無事に巣に戻れたかは定かではありませんが、多分・・・と思っています。

e0153357_18153053.jpg













このはぐれ子カラス騒動では、童謡の ♪かーらーす、なぜなくの、からすはやまに、かわいいななつの こがあるからよ・・・♪ とはまったく異なったカラスの世界を垣間みてしまいました。
傷ついたわが子を押しのけて自分の食欲を満たす親鳥の行動をどうみたらよいか。専門知識のない身には短絡に評価できませんが、いずれにせよ、小さな命はなによりも尊いと、甘やかすだけ甘やかす人間とは異なり、あのカラスの子はたとえ子供といえども環境に適応できないものは生き抜くことはできないという厳しい自然の掟を身にしみて知ったはずです。
薄情で残酷にみえても、あの親ガラスは人間の親より賢明なのかもしれません。
とはいえ、あのいたいけない子カラスも、このような苦境をくぐりぬけることで、ずる賢く、無作法ないたずらカラスに成長するとなると少し複雑な思いではありました。

 
[PR]
by love-all-life | 2012-06-22 18:28 | カラス | Comments(0)