HAND & SOUL

この世は生きるに値する

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宮崎 駿さんが長編アニメ制作から引退するというニュースが各メディアで大きく報じられました。
おそらく黒澤明や小津安二郎の引退もこれほど大きく扱われなかったと思いますし、まして歴代総理大臣の引退などはこれに比べれば誠に貧弱な扱いです。
このことは、彼の去就が社会的にそれほどの大きなインパクトをもっているということであり、3歳の幼児から100歳の老人までが「エッ、ほんとう?」と等しく反応できる稀な出来事だったからでしょう。

誰もが「残念だねえ」と言いながら、その引退を惜しむこころの片隅でどこか清々しさのようなものを感じている風です。
世の中、何事も効率化がすすむなか、膨大なセルを一枚一枚描き重ねる手描きアニメにこだわり続けるひたむきさ。アニメを子供騙しの対極にまで高めようとする執念。作品に込めた社会的メッセージを美しさと温かさとユーモアに包んで提示する手腕。つねに全力投球する誠実さ。そしてしばしば見せるイタズラっ子のような笑顔。これらが一緒になって、人々は彼にある種の爽やかさを感じとるのでしょう。

末の孫娘が3歳の頃から遊びにくる度にせがまれて「魔女の宅急便」を一緒に見ていました。ビデオさえかけてやれば付き合う義理はないのですが、ついつい最後まで一緒に観てしまいます。20回は下らないと思いますが、何度観ても見飽きることはありません。そのディテールへの追求の深さ、人間にたいする洞察や自然への愛おしみなしには生まれない表現の密度に感服してしまうのです。
3歳児をして、毎度初めて観るように惹き付けてしまう作品の力こそ、その表現の密度の成せる技に違いありません。子供は決して騙されないものだと痛感します。

さて、あと10年は仕事をしたいという宮崎さんの今後がつい気になってしまいますが、そんな時も時「五輪開催地決定!」のビッグニュースが飛び込んできました。
「宮崎 駿を、第二回東京オリンピックの総監督に!」。ちょっと短絡的のような気がしないでもありませんが、運命的なタイミングを感じざるを得ません。

「この世は生きるに値する」と信ずるクリエイターに、近未来の日本を託してみたいとは思いませんか。

写真:朝日新聞
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by love-all-life | 2013-09-09 08:20 | 時事・社会 | Comments(0)