HAND & SOUL

「背守り」

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久しぶりに銀座に出たついでに、栄養補給にと京橋まで足をのばしINAXギャラリー寄ってみようとしたところ、そこはLIXILとギャラリーと名前が変わってしまっていて、改めて世の流れに疎くなった自分を再認識しました。 
ギャラリーでは「ブルーノ・タウトの工芸展」をやっていて、ドイツ人建築家のブルーノ・タウトが1933年に日本に滞在した折、日本の工芸品にも注目しその足跡を紹介するもので、とても興味深い展示でしたが、 今日の話題は観覧の後、階下のブックショップで入手した「背守り」(LIXIL BOOKLET)についてご紹介しようと思います。 


背守り(せまもり)」をご存知でしょうか? 
当方は知りませんでしたが、「背守り」は日常的に着物を着ていた戦前まで子どもの着物の背中につけた魔除けのお守りのことです。 
大人の着物は背中に縫い目があり、この縫い目に霊力が宿り、背後から忍び寄る魔を防ぐとされていました。ところが身幅の狭い一つ身の子どもの着物には背縫いがありません。そこでわざわざ縫い目を施して、魔除けとする風習が 生まれました。縫い目だけの素朴なもの、吉祥文様をかたどった色とりどりの刺繍、愛らしい押絵のアップリケ…… その造形は驚くほど多彩です。
病や不慮の事故で子どもが命を落とすことが今よりもはるかに多かった時代、健やかな成長を祈って母親が針を運んだ手仕事には、わが子を慈しむぬくもりが溢れています。(説明:LIXIL BOOKLET「背守り」より)
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昭和時代以前、自ら産み落とした赤ん坊の死に直面しなかった母親は恐らくきわめて少なかったでしょう。
貧困と劣悪な衛生環境のなか、過酷な家事労働を負いながら、たくさん生んで、その中の何人かの命をお産の時点で失い、病などで他の何人かを幼いまま失い、やっと生きながらえるわが子へ注ぐかっての母親の慈しみと、豊かで恵まれた医療環境に守られ、出産は最小限で済ませ、自らのための時間を大切にする現代の母親がわが子かけるの慈しみをその軽重で比較するのは無意味としても、その質がかなり異なったものであることを、これらのかわいらしい童子の着物に刻まれた「背守り」の数々をみて感じざるを得ません。
かたや「祈り」であり、もう一方は「あまやかし」であると言ってしまうと現代のママたちから大きなブーイングを浴びそうですが、見るものの心を動かさずにはおかない「背守り」に現れた美しさが、かっての母のHAND & SOULによるものでることに異議をとなえる人はいないでしょう。 

参考:LIXIL BOOKLET『背守り』ー子どもの魔よけー 
子どもの写真:『百年前の日本』小学館

「背守り 子どもの魔除け展」
LIXILギャラリー大阪    3月7日〜5月20日
LIXILギャラリー1(東京) 6月5日〜8月23日






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by LOVE-ALL-LIFE | 2014-03-29 01:12 | 文芸・アート | Comments(2)
Commented by remmikki at 2014-04-06 10:47 x
背守り、初めて知りました。どれも親の願いがこもったものですね。

東京展は6月からですね、開催中、ぜひ見に行ってみたいです。
Commented by 木形子のこころ at 2014-04-17 18:10 x
Hand & Soul 2014展ではお二人の温かい作品群に触れることができ嬉しゅうございました。
今回の「背守り」については全く知りませんでした。大切な子どもへの母親の思いを背中のぬくもりを通して伝えるような「形」が引き継がれてきていたのですね。
LIXILギャラリーは、3/24にブルーノタウト展で訪ねました。日本滞在中の数年間は本来の建築にほとんど携われなかった中での工芸作品に凝縮された感性に触れてみたかったのです。その後も図書館で関係の書物を見つけて、タウトの世界をひもといております。