HAND & SOUL

小津詣で

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読書や新聞で、「こころに届く」言葉、「いいな」と思った言葉に出会うとパソコン上にメモして、時々見返しては自戒したり勇気づけられたりしています。 

今朝はこの言葉に再会しました。 
「なんでもないことは流行に従う、重大なことは道徳に従う。芸術のことは自分に従う。」 
小津安二郎の言葉です。 

一見物わかりがよく、折り目正しい紳士のようでいて、こと創作に関することとなると頑固一徹で、誰にも一歩も譲らないという、よく言われる小津のイメージをこれほどよく表している言葉はないのではないでしょうか。できることであれば自分もこうでありたいと共感してメモの仲間入りとなったものです。
 前回のブログでも触れたように、ろくに邦画を観たことがない当方としては、小津安二郎の芸術といっても、なんとなく小津映画の流儀いついてにある程度のイメージをもっているものの、じゃ小津作品の何を観たかと問われたらあまり定かでないくらいですから、当方の共感はかなり自分勝手な想像の範囲を出るものではありません。でも、彼にある種の親近感をもつのは、昭和のそれも早い時期の好ましかった価値観を共有しているように当方が感じるのと、彼の住処がHAND & SOULからそれほど遠くないという縁からでからでしょうか。 

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裏山のウォーキングコースを経て浄智寺から北鎌倉へ通じる道は、かって文人たちが好んで移り住んだ古い鎌倉の趣を色濃くのこしていて、当方の最もお気に入りの散歩道のひとつです。 
浄智寺の裏にあたるところに日本画家、故・小倉遊亀のお宅の門だけが残っていて(写真:下左)、その脇を抜けるトンネルの奥が小津邸跡です(写真:下右)。いまは別の人が住んでいますが、「俺の世界に勝手に立ち入ることは許さぬ」とばかりの構えは、上に掲げた言葉がそのまま入り口に頑張っている感じです。 

北鎌倉駅脇の踏切を跨ぐと円覚寺があり、その境内に小津のお墓があります(写真:上)。急な斜面の中腹に他の墓碑とは趣を異にした真四角な墓石に「無」の一文字が刻まれています。それは小津が生前望んだものなのかどうかは定かではありませんが、彼の端正な生き様や美意識を彷彿とさせ、禅宗の古刹に居心地よさそうです。

最後に小津の言葉をもうひとつ、甥の長井秀行さんが彼を振り返っての言葉です。 
「品行方正でなくてもいいが、品性下劣になってはいけないとよく言っていました。品性下劣なやつはどうしようもないってね。」(朝日新聞 2014.4.26)


















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by LOVE-ALL-LIFE | 2014-05-03 16:51 | 文芸・アート | Comments(0)