緑色の裏切り
前に小ブログで紹介した新聞朝刊の連載の「しつもん!ドラえもん」の問題を解くのは、小学生だった孫娘との朝食卓での儀式のようなものでしたがいまは彼女も中学生。以前のようななじめさはなくなりましたが、最近こんなのがありました。
問:植物の葉っぱは、太陽の光を使って酸素を作り出しているよ。何という仕組みかな?
というもので、孫娘は「光合成でしょ」とつまらなそうに返事をします。
答えを確認すると、確かに「光合成」が正解ですが、その解説にただならぬことが書いてあります。
答え:「光合成」。植物は光のエネルギーを使い、二酸化炭素と水から自分の体のもとや酸素をつくりだしている。緑色の光は使わず反射するから葉は緑色にみえるるんだ。
ジイジがただならぬことと感じたのは「緑色の光は使わず反射するから葉は緑色に見えるんだ」という件です。
つまり葉っぱは太陽の光のなかから緑色以外の光を吸収し、緑色は必要ないので体に取り込まないで反射するから人間の目に葉は緑に見えるというのです。
あるモノに光が当たると、モノは光のある部分を吸収し、それ以外の光を反射します。人は反射された光をそのモノの色として認識するのです。つまりモノに色があるのではなく、そのモノに当たって反射された光をそのモノの色と感じているというのは事実です。その事実から言えば解説の通りなのです。
理屈はそうでも、植物は太陽光線の赤・橙・黄・緑・青・藍・紫のなかで、最も必要としない色が緑だなんて、なんだか割り切れない気持ちになりません?
だって「緑」といえば、健康の色、エコロジーの色、安全のシンボル、心を癒す色、平和の色、いろいろなイメージがありますが、すべてが好ましいイメージです。それというのも、緑色はすべての生命体の母なる自然を象徴する色と皆が思っているからでしょう。
この誤解というか混乱の原因は、光の色をモノの色と勘違いしていることから生まれるわけですが、もうひとつは「葉緑素」という言葉にあるのかもしれません。
「光と水と葉緑素によって植物は生長する、これを光合成という」と習ってきました。葉緑素という魔法の成分こそが植物を植物たらしめていると思いから、植物=葉緑素=緑色という連想から、上のような緑の数々の好ましいイメージが生まれるのでしょう。ところが、実は葉っぱは緑が一番嫌いな色だったなんて「ありえな〜い」という気になろうというものではありませんか。
なんだか、ある日妻から長年慈しんで育てた子どもが「実はあなたの子ではないの」と打ち明けられた亭主のような割り切れない気持ちです。ま、あまり後味はよくありませんが、こういうのも「目からウロコ」と言うのでしょうか。
by love-all-life
| 2014-12-27 10:02
| 自然