HAND & SOUL

政治もデザインもフランスの勝ち!

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むかし図案と言われていたものがシンボルマークやロゴなどと呼ばれるようになり、近頃はもっぱらエンブレムという言葉が流行りになっていますが、さて、これは何のエンブレムでしょう?

このエンブレム、NHK BS1のドキュメンタリー「食料廃棄物ゼロにせよ」を観ていて初めてお目にかかりました。
深刻な格差や資源の枯渇などが問題視される一方で、世界中の食料生産量の1/3が捨てられている状況は許せないと、フランスではすべての大型スーパーに売れ残りの食料品の廃棄を禁じる「食料廃棄禁止法」が制定されました。番組では国が決めたこの思い切った制度に対応して、食品廃棄物ゼロをめざすスーパーやフードバンク、慈善団体などの取り組みが紹介されます。なかでも家庭から出るゴミは食品廃棄の最大のものとして、消費者の意識や,購買行動へのアプローチが示されますが、そのなかで紹介されるのがこのエンブレムなのです。

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このエンブレムは言ってみれば「キズもの」表示です。形の整ったアスパラガスは売れるが、曲がっていたり、キズがあると売れ残ります。そのような「キズもの商品」を値下げして、このエンブレム・シールを貼って「よい味を、無駄なく食べましょう」と呼びかけるのです。
日本でも「キズもの」は安売りの手法として定着していて、なかにはおせんべいをわざわざ割って「キズもの」として販売増進を謀るといった不純な手口もあるようです。
このフランスのエンブレムでは、「よいものを、無駄なく」と呼びかけて、消費者を地球市民とみる視点が、「キズもの商法」とはっきり異なっています。

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デザインは「少々の問題があるリンゴ」を擬人化したものですが、醜さをおかしさ・親しみやすさにすり替えた巧みなデザインで、日本にあふれるカワイイ系、癒し系ユルキャラの幼稚性は感じられなくて、ややシニカルな趣もただよっていて大人の心に触れるユーモアのセンスを感じます。
日本ではこのところのオリンピックのエンブレム騒動で、にわかに「デザイン」が広く一般の関心事となっているのは本来的には歓迎すべきことですが、ことの流れをみていると、公平・公正といった観点に話題が集中し、「デザインの世界も民主主義だぜ」みたいな空気なっていくのには違和感を覚えます。
ま、いまのデザイン界に誰もが認めるようなプロの不在を世間一般が何となく感じていて、そのフラストレーションの現れとみるべきでしょうか。

政治も、市民も、デザインも、「フランスって大人だなぁ」と感じた番組でした。


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by love-all-life | 2016-04-20 18:14 | 時事・社会 | Comments(0)