HAND & SOUL

風見


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自分が小さかった頃、街には多くの職人がいました。
大抵道路に向けて仕事場が開いていて、彼らの仕事がよく見えたものです。
ボクのお気に入りは提灯屋でした。
提灯の波打つ表面に見事な筆さばきで細い線をひいたり文字を描く。絶対失敗しないのです。
提灯屋は季節産業とみえ、冬場になると凧を描きます。
主に武者絵で、弁慶や荒木又右衛門などの強面が次々にできあがっていきます。
仕上げは、缶で温めて溶かした蝋を大きく見開いた眼球にさっとひと筆揮うのです。
蝋をつけた眼は凧が空中に舞うと、太陽光を背面に受けて発光体となるのです。
いったい何時間提灯屋の土間で過ごしたことやら、いまでもこの蝋を溶かす臭いは覚えています。

鎌倉市は数字の上ではれっきとした高齢者社会ですが、我が家の周りはかってのお屋敷の大きな敷地が分割されて、ニューファミリーが多いせいか子どもが多いのです。
いずれ分譲されるだろう空き地で、幼児から小学生くらいの子どもたちが入り乱れ一団となって遊ぶ情景は、自分が育った頃とそう大差はありません。
そんな子どもたちが、いま作っている小屋に興味津々なのです。

子供たちにとって、ものがつくられていく過程をじっくり観察する機会がきわめて少なくなっているなか、顔見知りのおじさんが突然小屋を作り始めたのです。
職人の技にはほど遠いくらいのことは子どもたちにも分かるはずですが、それでもいままで見せたことのない尊敬の眼差しで熱心に見てくれます。
もっと見事な鉋さばきを見せてあげられたらと心から悔やんでいます。

子供たちの眼差しに何か応えたいと、小屋に風見をつけようと考えています。
かって少年のボクに、職人の技と自然が見せたマジックを、オモチャは電池で動くものと思っている子供たちにも見せてやりたいと企んでいるのです。
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by love-all-life | 2009-03-12 19:47 | その他 | Comments(2)
Commented by やべっちΘ at 2009-03-13 16:15 x
こんにちは。ブログでは”はじめまして!”の「やべっちΘ」です。
2~3日前に〔ジィジ〕さんから、このブログの存在を教えてもらいましたので、”よりみち”してみました。

私は、絵描きを目指して学生時代に日本画を専攻し、当時は結構真面目に絵を描いていました。
大学を卒業する時、私はオヤジから「おまえ、経師屋にならねぇか?」と薦められました。近所の知り合いに経師屋さんがいたそうです。
結局、自力で全然別の道を歩み始めましたが、当時は一瞬迷いました。あの頃、私は自分のことを”職人気質”と思い込んでましたので・・・

このブログを一通り拝見した今、”もしあの時、経師屋の道を選んでいたら、私は今頃どうしているだろう・・・?”と考えています。
きっと、自分の中に潜んでいる、ものづくりの血をくすぐられたのでしょう。。。

※〔ジィジ〕さん、羨ましいです。たっぷりと楽しんでください!
Commented by nobu at 2009-03-13 21:29 x
そうですね。 自分にできないことが出来る大人を “すごいっ!” と憧れの目でみつめたことを覚えています。大工さんとかはもちろん、畑仕事の合間に草鞋を編むおじいちゃんとかブリキで道具を作るおじちゃんはカッコ良かった。たしかに昔は仕事が身近にあって、手を動かして誰かのために汗をかく意味もわかりやすかったですね。