HAND & SOUL

2009年 04月 03日 ( 1 )

Touch the heart.

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何年も映画館というところに足を入れたことはありませんがビデオはよく観ます。
昨日家人が借りてきたので「おくりびと」を観ました。
オスカーを獲得したときの関係者やマスコミの「あり得ないことが起こった!」みたいな騒ぎっぷりはたいへんなものでしたが、ボクにはオスカーを取ってもなにも不思議はないほどよくできた映画と思えました。

どこが?という話は横に置いておいて、ボクが驚いたのは「石文(いしぶみ)」の話が映画の重要なモチーフとしてでてきたことでした。
なぜなら、この「石文」の話は十年来大学で毎年授業で採り上げてきたからです。
ボクの場合はデザインの講義ですから、映画のような「父子の絆の徴」としてではなく、「情報伝達の深さ」の話です。

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因みに「石文」の話とは、まだ文字というものが一般的でなかった昔、自分の気持ちを伝えるのに、気持ちにぴったりな小石を探し、人に届けてもらう手紙に代わる風習のことです。
石を受け取った人は手のひら中で石の感触を確かめ、丸くてすべすべしていたら送り主の無病息災を想い安心し、とげとげざらざらしていたら、何か良くないことがあったのではないかと気を揉むというのです。


情報伝達の技術(IT)の発達で、情報の量、選択肢、質、正確さ、速さいずれも飛躍的に向上し、使い手にとって昔では考えられないほど便利になったわけですが、その分、情報に接する感性や想像力が鈍くなってきているのではないか、それに比べ、小さな石ころは自分の姿とテクスチャー以外になにも表現しませんが、だからかえって受け手のイマジネーションを引き出し、結果として相手の心の一番深いところに届くのではないか、技術を知る必要はあるが、技術に頼りすぎるのは危険だというのがボクの学生へのメッセージでした。

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人の心に届くモノづくりを心がけたいと思います。
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by love-all-life | 2009-04-03 09:26 | 文芸・アート | Comments(4)