HAND & SOUL

2011年 04月 13日 ( 1 )

パンドラの箱



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福島第一原発の事故の評価尺度がチェルノブイリとならぶ最悪のレベル7だとされました。
事故発生以来たいした事故ではない、人へ害を及ぼすほどのものではないと言われ続けてきたあげくの果てにです。
この疑念、不安、いら立ちをどこにぶつけたらよいのでしょうか。

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無惨に屋根が吹っ飛んでしまった四角い1号機建屋のTV映像を見てフと頭に浮かんだのは、決して開けてはならないとされていた箱を開けてしまった結果、ありとあらゆる災いが飛び出してきたとされる「パンドラの箱」の故事でした。
このギリシャ神話の内容はザッとこんな風です。


全能の神ゼウスはプロメテウスに、 神と同じ姿の生き物をつくらせ、それを人間と名付けました。そして「かれらに生きていくための知恵や能力を授けてやれ、ただし火を使うことだけは教えてはならない」と言いました。
しかしプロメテウスは、火がなくて困難している人間を哀れに思い、弟のエピメテウスに後を托し、ゼウスの命に背いて太陽から火を盗み出して人間に与えてしまい、ゼウスの怒りに触れて、山上で生きたまま鷲に肉を喰い散らされて命を落とします。
怒りのおさまらないゼウスは,人類に災いをもたらすためにこの世で一番美しいパンドラをエピメテウスの許に送ります。
パンドラは美の神アフロディーテから美しさを、アポロンから音楽と癒しの力を、そしてゼウスからは好奇心を与えられていました。
エピメテウスはパンドラの美しさに心を奪われ、「ゼウスからの贈り物を受け取るな」というプロメテウスの忠告にもかかわらず、自分の妻にしてしまいます。
神はパンドラを地上に送るとき、ひとつの箱を「決して開けてはならない」と言ってわたしましたが、この箱には病気、盗み、ねたみ、憎しみ、悪だくみなど、この世のあらゆる悪が閉じこめられていて、それらが人間の世界に出て行くのを防いでいました。
ある日パンドラは好奇心から箱を開けてしまいます。そしてありとあらゆる悪しきものが世界に飛び散ってしまったのです。パンドラはあわてて箱を閉じますが、なかに「希望」でけが残ってしまいます。
こうして、この世がどんなひどい目にあっても、人類には希望が残されているのです。


神の戒めとして、美しい姿を纏って地に遣わされたパンドラを核エネルギーと置き換えてみると、なかなか示唆に富んだ隠喩となるのではないでしょうか。パンドラの箱は言わずと福島第一原発です。

さて、ではパンドラの箱にとりのこされているはずの「希望」とは何でしょうか?
従来ですと「希望」とか「夢」というものは、科学技術の発展の先にあるもの、誰かが何かをしてくれるブレイクスルーを期待しがちですが、パンドラの箱を隠喩として考えると、「希望」とは私たちの「外」にあるのではなく心の「中」に潜んでいるもの。例えば、核エネルギーに見切りをつけ、エネルギー消費を控えるライフスタイルへ切り替える「勇気」、そのために少々の不便を我慢する「覚悟」などといったものの先にしかないのではないかと思うのですが、皆さんにとって希望とは何でしょうか?
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by love-all-life | 2011-04-13 16:13 | 時事・社会 | Comments(1)