HAND & SOUL

2013年 07月 05日 ( 1 )

数字を使うか、使われるか

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質問:
心筋梗塞になった人の93%が<それ>を食べています。
ガンになった人の95%が<それ>を食べています。
殺人などの凶悪犯の98%が<それ>を食べています。
さて、<それ>を食べることをどう思いますか?

先日のNHK「クローズアップ現代:数字のカラクリ・データの真実~統計学ブームのヒミツ~」の冒頭は、街頭の人々へのこのような質問から始まります。
答えを求められた人は、「そんなもの食べないほうがいい」「え!何それ?」「そういうものを売ってはいけないんじゃないですか」というようなものでした。
で、質問の答えですが、<それ>とは「ごはん」です。
これは、番組のメインテーマである統計データというもののカラクリを示す一例でした。

今、統計学がブームを巻き起こしているそうです。出版界では入門書が5か月で26万部の大ヒットで、公開講座にはビジネスマンを中心とした受講生が殺到。そして、統計学を使いこなす「データサイエンティスト」なる専門職は「最もセクシーな(魅力的な)職業」だとして、多くの企業から引っ張りだそうです。
玉石混合の山のようなデータのなかから確かな指針を探し出す力。データ分析から知られざる事実を解明し、未来を予測するには統計学のスキルが不可欠なのだというのです。
現代ではビジネスだけでなく、多くの人にとっても統計学的な考え方「統計リテラシー」が必要なようです。

そこでまたジイジの昔話になりますが、外資系の広告会社で広告制作に携わっていたときのことです。ある世界企業のクライエントは徹底して調査データを駆使したマーケティングを行う会社で、ひとつの広告をつくる過程に何回も消費者調査をして、満足な数字が得られなければ何度もやり直しをしなければなりませんでした。
そもそも消費者調査の結果というのは、その日の消費者の意見や好みを反映しているのであって、それは明日の消費者の姿とは限りません。
これから売り出す新製品は、いわば明日の消費者に向けての製品なのだから、昨日の消費者を知ることにどれほどの意味があるのか。明日の消費者を洞察しイメージすること、つまり想像性や創造性が最も必要なのではないかと疑問を抱いたものです。
ま、何十万の従業員とその家族を抱える巨大企業とすれば、いちクリエイターの夢のようなアイディアに会社の命運をかけるより、リスクを最小限にすることのほうがはるかに大切なのでしょう。

番組で取上げている現代の統計学なるものは、扱うデータの量もその分析技術もかってとは比べ物にならないくらい進化しているのでしょうが、ここ何十年もハッとするような広告表現にお目にかかれないところをみると、最先端のデータ分析スキルといえども、未だ創造性の域にまで及んでいない証拠のように思えます。

写真:NHK
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by love-all-life | 2013-07-05 14:30 | 時事・社会 | Comments(0)