HAND & SOUL

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アーツ&クラフツ展

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上野で開催されている「アーツ&クラフツ展」に行ってきました。
会場の入り口に近代デザインの父と言われるウイリアム・モリスの有名な言葉が大書してあります。
「暮らしの中に『役に立たないもの』『美しくないもの』を持ち込んではいけない」

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ウイークデイというのに会場は若い人を中心にかなり混み合っていいました。
モリスの言葉が今も、いや今だからこそ強いメッセージ力をもっている証でしょう。

トレンドだから、欲しいから、買いたいから…、これらはもちろんものを買う立派な理由ではありますが、「買いたい」欲望を満たしたあと、廃棄されるまでゴミ同然に捨ておかれるものたち。
限られた敷地に庭木も植えられないほど目一杯の間数の家を建て、広々と暮らしているかと思えば、次から次へと買い込んだものに場所をとられて住まいの空間は結局ウサギ小屋。
どこか変だと知りつつ、そんな暮らしから抜け出せないわれわれの耳にモリスの言葉は痛撃であると同時に、良寛さんの言葉のような清々しさを感じさせてくれます。

会場には、「暮らすこと」は「美しく生きる」と同意語なんだと言わんばかりに、丁寧に丁寧に考えられ、丁寧に丁寧に職人の手でつくられた作品が、幾ばくかの貴族的臭いを漂わせながら展示してありました。

帰りの電車の中で図録を見ていたら(デザイナーと職人が)「手と手を取り合って、手と心で仕事をする」という言葉に出会いました。

やはり”HAND & SOUL”なんだ!


*図版:アーツ&クラフツ展切符半券、ウイリアム・モリス写真は展覧会図録より
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by love-all-life | 2009-03-28 22:36 | 文芸・アート | Comments(0)

人形作り

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お雛様づくりが大好きです。
初女孫が生まれたのをきっかけに作り始めましたから、もう10年になります。
その延長線上に五月人形が出てきました。
豪華な鎧兜よりも、幼い頃からのお馴染みの金太郎や桃太郎、一寸法師が心に浮かびました。
今回は一寸法師。
でもいつかは熊に乗った金太郎や、桃から出てくる桃太郎とも遊んでみたいと思っています。
金太郎の腹掛け、大好きです。

バアバこと、内藤三重子
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by love-all-life | 2009-03-26 14:05 | その他 | Comments(1)

冷えた野菜と、醜い食器

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「冷えきった野菜が醜い食器よりは害がないことを銘記しよう。一方は身体に影響するが、もう一方は心を犯す。」
とは、建築家C.F.A.ヴォイジー(1857~1941)の言葉です。
温かくおいしい料理さえあれば、それがどんな器に盛られているか意に介さないのは精神的堕落だと言うのです。

ちょっとカッコよすぎるような気がしないでもないですが、とても惹かれてしまうのは、安くてそこそこおいしければ,ビニールパックのお弁当でもいいやとしてしまうような暮らしへの後ろめたさを感じているからでしょう。

われわれわれは膨大なエネルギーを使って、便利になること、快適になることを進歩と呼んできましたが、これは「楽(らく)」することへの進歩であっても、決して人間の進歩でないことに気づき始めています。
いくら楽(らく)ができても、楽しいとは限らないからです。

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肉体の「楽(らく)」と、心の「楽(たのしさ)」のバランスということで言えば、1万年前のラスコーやアルタミラの動物壁画や縄文土器を持ち出すまでもなく、原始の人たちの方がはるかにバランスのとれた暮らしをしていたようです。
自らのHANDとSOULで命を守る営みが、同時に美の創造であるような暮らし…これこそが、彼らが単なる哺乳類から「人類」になった証なのです。
いや、生きることが過酷である分、それに抗するべく心の「楽」つまり「美」を求めたのかもしれません。

少しやせ我慢しても美しいモノ、楽しいコトにこだわりたいと思います。


*食器写真、”MONET’S TABLE”より
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by love-all-life | 2009-03-25 20:42 | 文芸・アート | Comments(0)

Here's Johnny!

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タイトルと写真からピンと来た人は、なかなかの映画通じゃないですか?
でもこれはコロラドのリゾートホテルじゃなく、わがセルフビルド・ハット(小屋)の把手の話。

長年薪割りに使ってきた愛着のある STANLEY 製の手斧の加工を、近くの鉄工所に依頼していたのは以前ジイジが書いた通りですが、昨日それが出来上がってきました。
結論から言えば、加工そのものは良くも悪くも「予想通り」。
ところが実際に扉に取り付けてみると、なんだかグッと迫力が増し、ちょっとオーバーパワー気味。
バアバにいたっては素直に「怖い」と。
まぁ、確かに・・・・・。
僕でさえ、最初に浮かんだコトバが「Here's Johnny!」でした。
テクスチャー的には悪くないしオリジナリティもあると思うんですが、どうでしょう?

by Ken-Ken
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by love-all-life | 2009-03-24 20:39 | その他 | Comments(2)

"HAND & SOUL"

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前回はケンケンが電気屋Nさんのことを書きましたが、もう一人うちと関係があった職人さんについてお話します。
いま住んでいる家はジイジ、バアバが48年前に結婚したとき買ったものです。
駆け出しのデザイナーがちょっと無理をして買えたほどの格安の物件でした。
当然ながら相当のボロ屋だったので、購入後原形をとどめないほど増・改築など手入れを繰り返してきました。
そのほとんど全ての仕事をしてくれたのが大工のSさんです。

Sさんは存命なら90歳を超えているはずですが、好きなお酒が入ったとき以外は、腰の低いお人好しで、いくぶんそそっかしいところがありました。
軍隊にいたとき戦友たちが腕に刺青をするので真似をして、自分の名前を彫ったまではよかったのですが、うっかり名前を間違えて彫ってしまったという人です。

しかしこのSさん、仕事でポカをしたことは一度もありません。
外国雑誌の写真などを示して「こんな窓できない?」などと、従来工法とは違うような無理難題をもちかけても。
はじめはちょっと困った顔をしますが、落ているベニヤ板の端くれに鉛筆でちょこちょこと図面らしきものを描いただけで、見事な結果を出します。
「お助け」と称する木片を使って、一人では無理と思えるような大きな材木を魔法のように屋根にあげてしまいます。
このような職人の智恵と技の記憶はいつまでも消えることはなく、フッと天井をみ見上げたときSさんはどうしているかなと思い出したりします。
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今日の工業化社会では、日常いろいろなモノを使っていて、モノの後ろにそのモノをつくった人を思い浮かべることはできません。
使う側は誰がどんな気持ちでつくったか知る由もなく、企業名やブランドといった茫洋としたものをあてにして製品を選びます。
つくる側も、個々の人はビスを止めたり基盤にハンダづけしたり、自分がモノをつくているという実感さえなく、ましてや使う人の顔を思い浮かべることなどあるはずもないでしょう。
こうした、つくる「人」と使う「人」との断絶が結果として耐震強度や食品の偽装問題などを生みだしているようにも思います。

一方に、つくる側の技やクセや想いや遊びの結晶としてのモノがあり、もう一方に、量ではなく質で暮らしを面白くしようとするモノの使い手がいる。
この両者が出会える場をつくってみたい、私たちの店を「HAND &SOUL」としたのもそんな気持ちからでした。
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by love-all-life | 2009-03-23 09:44 | その他 | Comments(0)

電気屋Nさんのこと

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電気が通じたことで、小屋にも明かりがともるようになりました。
毎週金曜日、土曜日、日曜日の朝から夕方までオープンする予定ですから、こんな暖かいムードの店の姿は、なかなかご覧頂けないかもしれません。
でもどうです? イイ感じでしょう?
ここだけの話、小屋のすぐわきに立っている自治会の防犯灯、こいつも内緒で蛍光管を「電球色」に交換しちゃおうと企んでいますが、マズいですかね?

小屋に電気を通してくれたのは市内在住のNさんです。
Nさんは(本人曰く)本当にいつも忙しい電気屋さんで、仕事をお願いしてもなかなか来てくれません。
時には半年以上待たされることもあります。
小柄で小太り、無精髭にクシャクシャ頭、ひどいポンコツに電気工事の材料工具を詰め込んで、忘れた頃にやってくるNさん。
意外にも Fourplay が好きで、来日の度に BLUE NOTE に出かけていったりします。

またNさんは、とんでもないお喋り好きでもあります。
現場でも仕事をせずに、もっぱらお喋り。 話題も豊富で、どんな内容でも必ず一家言あり。
これでは(請け負った)全ての現場を廻りきれるはずがありません。「忙しい」わけです。
そのせいでしょうか、Nさんにお願いした電気工事はいつも「ある朝、現場に来てみると終わってる・・・」。
一人で夜中に来て、配線工事してるんでしょうか?
まるでサンタクロースです。

そんないい加減だけど憎めず腕はいいNさん。
今回の小屋工事では隠された一面を見せてくれました。
それによると、本当は電気屋さんになるはじゃなかったらしいのです。

聞けばNさん、本当は宇宙飛行士になるはずでした。
しかし唯一「身長が足りない」という理由によってのみ、アストロノーツの夢を諦め、電気屋になったということです。

いつも気さくに仕事を一緒にしてきたNさんに、実はそんな壮大な過去があったとは、全く知りませんでした。
恐らく仕事仲間の他の職人さんも知らないと思います。
知っているのは僕と、小学校1年生になる僕の娘。 それとこのブログの読者だけです。
人は見かけによらないものです。

by Ken-Ken
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by love-all-life | 2009-03-20 21:53 | その他 | Comments(2)

1967年は永遠


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6時に目覚めたのを幸いに散歩に出ました。
由比ケ浜には子どもたちが作った砂楼が、三日ほどの続いている陽気の証のように波に洗われながら残っていました。
この時期はわかめが海岸に流れつきます。
以前はよく拾って帰ったものですが、風呂場が砂だらけになるなど家人からの評判が悪く、今日も拾うのを我慢。



入れ物としての小屋はケンケンの頑張りもあってひとまず完成。

いよいよ中身の商品づくりに精を出さねばならないのですが、その前に、かってお世話になった先輩Mさんの喜寿のお祝いの品をボクが用意することになっているのです。
Mさんは大学の先輩であり、かっての大クライエントでもあったばかりでなく、1967年に3ヶ月ほどニューヨークの広告会社でともに研修を受けた、同じ釜のメシを食った同士でもあるのです。
1967年!ニューヨーク!
あの特別な時代に、特別な場所で、特別な体験を共有しているのです。

例によって質素ではありますが、心を込めてコラージュをつくりました。

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by love-all-life | 2009-03-19 23:16 | その他 | Comments(0)

ショップ看板

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HAND & SOUL SHOP 。
無事、建築工事が完成し、昨晩は電気も通じました。
これでやっと僕も一仕事終えた感が持てます。
とりあえず箱が出来たので、これから約1ヶ月をかけ、店らしくしていく予定です。

ということで先日来バアバは作品作り、ジイジは看板作りにかかっています。
写真はお店の「袖看板」として作製したチェアー。
銭洗弁天の参道からも見える袖看板をどうしようか、というのが家族内での懸案事項の一つでしたが、小学校3年生のボクの次男が「イスにしたら?」と言ったとか。
あっさりそれが採用され、このような看板ができあがりました。
小屋への取り付けはまだ先ですが、仮付けしてみたら、最高にキマッてました。
大鋸のメイン看板とあわせて、ぜひお楽しみに!
いい店になりそうです。

by Ken-Ken
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by love-all-life | 2009-03-18 15:46 | その他 | Comments(0)

技とテクノロジー

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青空にコブシがまぶしい陽気でした。

夕方近くぶらっと街へ散歩に出て、ぶらっと図書館に寄ってみました。
以前はたまに利用する程度だったのが、リタイア後は、家に本が溜まらなくて済むことと、経済的理由から、かなり頻繁にお世話になっています。

入り口の柱に「鎌倉鳶(とび)~先達の足跡~」と張り紙があったのでエレベーターで3階へ上る。
閑散とした薄暗い廊下の、衝立て2枚とガラスケース2台に、鎌倉で活動した鳶職の古文書や、大正から昭和初期の写真や纏などの品が展示してあります。

印半纏に脚絆にねじり鉢巻、写真に写ったの鳶の者たちは姿も表情もきりっと締まって見え、彼らが自分の仕事に誇りをもっていたことが伺えます。
展示してある纏や半纏などはどれも洗練された完成度の高いデザインです。
鳶口という極めて単純な道具ひとつを操って不可能を可能にしてしまうような仕事には、一糸乱れぬチームワークと人の技の伝統があり、それらは磨きあげられた様式となり、文化の領域に達していたのでしょう。

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「古くは鳶者(とび)といわれ、土木工事が盛んになった近世初期から、普請場で鳶口を使って大きい材木や石を動かす仕事に携ったことから言う。
集団で行う仕事の音頭をとるために独特の『木遣り唄』が唄われた。云々」と解説があります。

あ、そうか。この人たちの仕事はいまはショベルカーやクレーンと、オペレーターと称する運ちゃんたちにとって代わってしまったんだ。
それにしても荒々しい建設現場に似つかわしくない化粧品のような色彩のショベルカーや、裾だぶだぶのズボンの出で立ちは、それなりの機能性をもっているのだろうが、滑稽というか、粋とか美の感覚とはずいぶん遠いなぁと思う。

機械力に頼ったショベルカーやクレーンの現場からどんな様式や文化が生まれるのだろうか。
マニュアル化された手順と効率主義から生まれるものがお金だけだとすれば、”サブプライム”を対岸の火事と言っていられないかも。

*「鎌倉鳶」資料:鎌倉中央図書館
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by love-all-life | 2009-03-17 21:42 | 文芸・アート | Comments(0)

最終段階

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春の嵐が過ぎてやっと晴れが続く様子なので、ここで一気に最終仕上げの外壁塗装に着手しました。
内装はすでに仕上がっているので、これが済めばほぼ完成。
忙しい忙しいといってなかなか仕上げてくれない仲間の電気屋さんが通電さえしてくれれば、小屋にも命が宿ります。

ここに来て近所の住人、犬の散歩の人など、様々な人たちが立ち寄ってくれるようになりました。
と同時に、みな必ず一言「もうすぐですね」とか「おや、色、塗っちゃうんですか!?」とか「いい色ですね」と声をかけてくれます。
工事中はいろいろな形でご迷惑をおかけした方々ですが、小屋を通じて近在の絆は確実に深まっています。

そんな会話の中でよく出るのが「いやぁ〜、やれば出来ちゃうもんですねぇ・・・・」の一言。
そうなんです、意外と出来ちゃうんで、僕自身驚いたり、嬉しかったり。
もちろん大工仕事もペンキ塗りも素人ですから一筋縄では行きません。
それでもなんとかここまで酷いミスも事故もなくたどり着けました。
いよいよもう一息です。

しかし小屋が出来たから完成、というわけには行きません。
建物は完成しても、HAND & SOUL にとってはスタートライン。
本当に大変なのは、まだまだこれから。
どうか皆様、叱咤激励、宜しくお願いします。

by Ken-Ken
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by love-all-life | 2009-03-15 21:27 | その他 | Comments(2)