HAND & SOUL

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HAND & SOUL「モノ」がたり 32 <ウォールデンの小屋>>


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ジイジの書棚にヘンリー・D・ソローの「森の生活」があります。今井嘉雄訳で大正14年発行なので旧仮名づかいで、布ばりの表紙は茶色に変色してしまっています。10年以上前に鎌倉の古書店で見つけたものです。
世の中が環境問題に耳目を向けるようになって以来、自然環境保全を考える古典として取上げられることが増えているようです。
文明社会から距離をおき、マサチューセッツ州コンコードのウォールデンの池のほとりに小さな小屋を建て、生きるために必要な最小限のものしかもたず自給自足で単身大自然と向き合う生きざまが、日本人にとってはどこか良寛さんの姿や、「清貧」という言葉のイメージを思い起こさせて親しみを覚えるのかもしれません。

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読んでみると周辺の自然の克明な観察記録であり、ある種の思索の書なので、まるで歩きづらい山道を行くようで、それほど読み易い本ではありませんが、いたるところで可憐な野の花に出会ったり、ハッとするような眺望がひらけるような、すてきな言葉やセンテンスに出会います。
例えば、
「幸福とは蝶々のようなものである。それを追っかけようとすると逃げていってしまうが、他のことに関心を向けていると、そっと飛んで来て肩に止まる。」
とか
「暮らしを簡素にすればするほど独り住まいは独り住まいでなく、貧乏は貧乏でなく、弱点は弱点でないとわかります。」
とか
「世の人々は楽しみを外に求め、社交や芝居見物に余念がないが、ボクの生き方には少なくとも一つ長所があった。ボクには生きること自体が 楽しみとなっているので、鮮度が落ちることがない。ボクの生活はまるで見せ場がいくつもある終わりのないドラマだった。」
などなど
まるでジイジの好きな言葉「Less is More」を地で行く生活です。



さて前回に続いて、クリスマスシーズンなので、世の店にならって何かプレゼント用の作品をと、つくってみたのが、今回の「モノ」です。

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ソローがウォールデンの池畔につくり住んだ小屋をイメージした木製の香炉です。モミの香を炊くと煙突からゆらりと煙が上って、お部屋はまるでウォールデンの森の空気に包まれる・・・はずですが。


「ウォールデンの小屋」 9(w)×12(d)×12cm(h)  ¥4,000
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by love-all-life | 2009-11-28 18:37 | 「モノ」がたり | Comments(0)

HAND & SOUL「モノ」がたり 31 <モミの木移し>


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こんなパズルを知ってますか?
中央の輪の重なりを左右どちらかの棒に移し変えるパズルです。昔からある子ども向きのパズルですが、これが単純なわりに結構難しいんです。

やり方は、
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上の輪を1つずつはずして②のように隣の棒に移し、最終的には④のように、すべの輪を最初と同じ順序に移し替えます。左右どちらの棒を使っても構いませんが、ただし1度に動かす輪はひとつだけ、動かすかす過程で③のように小さな輪の上に大きな輪を置かないというのがルールです。


この間100円ショップで中国製のものを見つけて買って帰り、家で台木部分を流木にとりかえて、リビングルームに置いてあります。お客さんとの会話が途切れるときなどに持ち出すと、ちょっと盛り上がったり、結構な時間つぶしになります。


輪の重なりをクリスマス・ツリーに見立ててHAND & SOULオリジナルのプレゼントアイテムをつくってみました。題して「モミの木移し」です。

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「モミの木移し」パズル 26(w)×9(d)×14cm(h)  ¥4,000
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by love-all-life | 2009-11-26 11:02 | 「モノ」がたり | Comments(1)

小泉 均 個展

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昨日は、かっての大学で同僚だったタイポグラフィー・デザイナー小泉均さんの個展「水=みず」を観て来ました。(このタイトル、本当は「水」と「み」に濁点があるのですが、表記できないのでこの表記で許してもらいます。)
このタイトルでもわかるように、小泉さんは「文字」と、自身の美意識に徹底的にこだわります。

多くの美しいアルファベット文字を生み出したスイスのバーゼルの造形大学に留学し、「文字」の背後にある美の精神をしっかり身に付けてきた人です。その彼がバーゼルで何を学んだかをこっそり打ち明けてくれているようなリトグラフと、デザイナーとしての仕事が展示されています。

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展覧会のもうひとつの楽しみはその会場です。地下鉄茅場町駅から2分ほどの、昭和2年に建てられたビルデングまたはビルジングとでも言いたくなるような、小さなビルの1室のアート洋古書を扱う本屋さんのお店の半分がギャラリーなのです。

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重い鉄のドアを開けると、10坪にも満たない部屋には洋古書の匂いと、時間と国境を超越した不思議な懐かしい空気が流れています。
3階のギャラリーの窓の下にはポンポン蒸気が行き交う神田川の分流の亀島川が流れていて、ウォーターフロントを会場に選んだ小泉さんのこだわりがわかり、小泉ワールドが堪能できる仕掛けになっています。


展覧会の後、地下鉄で銀座に出て、久しぶりに銀ブラをして帰ってきました。いつも東京に出るとギラギラ、ザワザワの喧噪に疲れ果てて家にやっとたどり着くのですが、昨日は上質の器で心ずくしのお点前をいただいたようなさわやかな満足感で、ジイジ、バアバともに歩みも軽く家路につくことがてきました。

http//:www.moriokashoten.com
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by love-all-life | 2009-11-17 23:34 | 文芸・アート | Comments(5)

ハチドリのひとしずく

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朝、目がさめてまだフトンのなかでうつらうつらしているとき、頭をよぎるいろいろなことってありますよね。
これから始まる一日の心配ごとが多く、一旦動き出してしまえば何でもないようなことをグズグズと悩んだりします。
ときにはすごくいいことがありそうな予感に、勇気がわいてくるような気持ちになることもありますが、そういうことはめったにありません。

今朝は突然「ハチドリのひとしずく」という童話のことが頭から離れませんでした。心配ごとというのでも、うれしいというのでもなく、なぜかその想いに取り付かれてしまったのです。
もしかしたら昨夜招かれて行った、出版社の「児童出版文化賞」の授賞式の記憶が関係していたのかもしれません。しばらくは、なぜそんな想いにとりつかれたのだろうと考え込んだりもしました。

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この童話、南米先住民に伝わる話に、マイケル・ニコル・ヤグラナスというカナダ先住民族のアーチストがデザインした、とても短くてとてもかわいらしい絵本ですが、内容は結構ズシリときます。
知っている人も多いと思いますが、まだの人にご紹介しましょう。


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by love-all-life | 2009-11-13 16:34 | 文芸・アート | Comments(1)

臨時休業

誠に申し訳ありませんが、都合により11月13日(金)、14日(土)、15日(日)を臨時休業とさせていただきます。

HAND & SOUL
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by love-all-life | 2009-11-12 22:06 | 臨時休業 | Comments(0)

HAND & SOUL「モノ」がたり 30 <バアバのケータイ・アクセサリー>

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ずいぶん昔から雑誌にイラストや文章を書く仕事をしてきたバアバは、世の中にワープロというものが出始めるといち早く買い込んで使っていました。だからマニュアルを見て機器の操作をするのが苦手なジイジを「遅れた人間」として見下していました。
しかしワープロ優越感に浸っていたバアバは時代の波を見誤ってパソコンがダメです。ワープロが古くなって故障したら直してくれるところもなくなってしまって、いまではワープロも使いません。万年筆で原稿用紙を埋める作業をかたくなにつづける文士のように「やっぱり手書きのほうが心が入るわ」と、いまだにパソコンを拒みつづけています。

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バアバはケータイともあまり相性がよくありません。最初に買ったケータイはたまたま遊びに来た友人の赤ちゃんが何を思ったか金魚鉢に放り込んでしまいアッというまにオジャンでした。因みにそのケータイ、通称「錦鯉」というモデルでした。
次に老人用の文字の大きい単純機能のモデルにしましたが、しょっちゅう電池切れにするし、家に忘れたまま外出するし、持って出たと思ったら落としてしまうしで、IT革命の恩恵の風は我が家にはなかなか吹いてきません。

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ところが2、3日前からバアバが不思議なものをつくり出しました。クリスマスに向けての子供用のミトンの手袋かなと思ったら、片方は手袋で、もう一方は靴下なのです。何だろうと聞いてみたら、マフラースタイルにもなるしウエストにも巻けるケータイケースなんですって。「iPodも入るよ」と言うではありませんか。
???と思っていたら、お店に置いたその日に売れてしまいました。

そうか、時代にすがりつこうとするのではなくて、喰い物にすればいいんだ。

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「バアバのケータイ・アクセサリー」  ¥3,000
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by love-all-life | 2009-11-09 10:55 | 「モノ」がたり | Comments(3)

HAND & SOUL「モノ」がたり 29 <寄木のアクセント・テーブル>


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ずいぶん以前から箱根の寄せ木細工に魅せられてきました。斜面ばかりで畑作には恵まれないが木材資源だけは豊かな山間地という自然条件から生まれた独特の美しい伝統工芸品です。
箱根細工発祥の地といわれる畑宿集落には今も伝統技術の実演を見せる工房があります。多種の木材のかけらを寄せ集め糊で固めてスライスすると独特の幾何学模様の薄い板が出現します。比較的単純な工程なのに、生まれる模様には息を呑むような精緻な美しさがあり、自然を知りつくした職人たちが受け継いできた伝統の力を感じます。

この伝統技術を安価なおみやげものだけにしておくのはもったいないと、寄木技術を用いた家具などのアイディアを、小田原にあった県の工業試験所に持ち込んだこともありましたが、問屋がどうの、流通がどうのと現状を変えることの難しさをくだくだと言うだけなので、そういうことをやるのがお前たちの仕事だろうがとちょっとムッとしましたが、結局は門前払い同然ですごすごと引上げてきました。

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そんな記憶がどこかに残っていて、モノづくりの時間がもてる境遇になったいま、自分の拙い技術でできる範囲で、かってイメージしたものを現実の姿にしてみようと試みたのが今回の「寄木のアクセント・テーブル」です。箱根寄木のパターンのなかでもとくに好きな「乱れ模様」(正確には何というのか知りませんが)を模したものです。
本来の寄木は多種の木材の異なった色合いや木目を絵具のように使い分けて表現をつくりあげるのですが、こちらにはそんな木材の知識もないし、あったとしても高価だったり希少な木材を切り刻む技術も勇気もありません。安い杉材をカットしてペイントやワックスで色の変化を出すのですから、箱根の寄木とは似ても似つかぬまったく別物です。
箱根の職人さんからみれば噴飯もの以外の何ものでもないでしょうが、でも、ご飯を噴き出しながらもちょっと見て欲しいし、見るだけではなく胸も開いて欲しいなという思いもなくはありません。

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寄木アクセントテーブル 52×52×70cm(h)  ¥40,000

参考写真(上):「乱寄木八寸二枚組盆」本間寄木美術館蔵
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by love-all-life | 2009-11-03 17:40 | 「モノ」がたり | Comments(0)