HAND & SOUL

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HAND & SOUL「モノ」がたり 87 <靴型のランプ>

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青山でのバアバの「雛展」の最終日の日曜日、搬出のこともあって神宮外苑の絵画館の駐車場に車を置いてギャラリーに向っていたら途中の明治公園でフリーマーケットが開かれていました。
波打ち際のゴミのなかから恰好の良い流木を探す要領で重箱の隅をつつくのがフリマの流儀でしょうが、ギャラリーの時間を気にしながらなので、駆け足で一巡り、たった一品だけゲットしました。今日の主役の靴型です。
それは靴職人が手づくりの靴をつくるときの型ですが、いつ、何処で、どのように使われていたものか、売り手に尋ねなかったのでわかりません。べつに取り立てていわくある風でもない平凡な靴型です。木の質感と手の触覚を感じさせるフォルムが気に入って「これ、ちょうだい」って言ったら無言で袋に入れてくれました。1足で1,000円でした。ま、言うところの無駄遣いです。

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バアバの展覧会の後始末の手伝いなどでバタバタと追われる日が続いていましたが、その間も次の店に展示する作品として、あの靴型を何とかできないかという想いが頭をよぎります。
袋から取り出して改めて眺めてみるのですが、なんとも不思議なカタチです。恐らく何百年にもわたって職人たちが試行錯誤の末に、靴をつくるにはこのカタチ、この構造でなければならないという必然から生まれたモノなのでしょうが、靴型以外のモノとしてはおよそ役立たずというか、意味のないフォルムです。世の機械化の波に押されてか、職人が消えてしまったためか、靴型としての役割も終えて、廃棄物同然にフリマのシートに横たわっていたのです。

偶然とはいえこちらの手許に流れ着いた以上、もうひと花咲かせてやりたいものだという、老い衰えたものへの憐憫の情のようなものを感じてしまうのは、決して人ごとではないという想いがどこかにあるからでしょう。
どうせならできるだけいままでとかけ離れた役割の方が面白いだろうなと、いろいろ想い巡らせて、バラせるところはバラして、裏返したり、立てたり、寝かしたり、いじくっているうちに、足先の部分のカタチがどこか生き物めいていて、こんなモニュメントがあったら面白いななどと考えていて、ふと裏に電球を置いてテーブルランプにするアイディアを思いつきました。

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かくして明治公園で保護したホームレスのおじいちゃん靴型は、今度はホタルになって世の中をほんのちょっと明るくする仕事に就きます。


<靴型のランプ> 180mm(H)×180mm(W)×110mm(D)       ¥15,000
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by love-all-life | 2012-02-27 12:20 | 「モノ」がたり | Comments(0)

空は誰のもの?

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少し前小ブログに、周辺の道路が度々の修復舗装でパッチワークのように醜いと書き、世界遺産を目指す鎌倉の景観がこれでいいのですか?と市長に問いかけました。間もなく市から、いまの状態は仮舗装であっていずれキレイに舗装されますのと返事がきました。まずはしっかりウオッチするつもりです。

さて、もうひとつ前から気になっている都市景観の問題に空中を縦横に走る電線があります。
19世紀が煙突の世紀であったとしたら、20世紀は電線の時代であり、21世紀にはいずれ電線も旧弊なものとして消えて行くのではないかと考えたいのですが、実情はそのようになりそうもありません。

時代劇ドラマや映画のロケハンで、100年、200年昔と変らぬ景色を探すことはそれほど難しくはないが、いざ撮影しようとすると電線が邪魔して使いものにならないというボヤキを聞いたことがあります。すばらしい風景写真を狙うカメラマンにとってもこの悩みは深刻なはずです。
世界の多くの国からみれば考えられないほど豊かな緑と水に恵まれていながら、そこから生まれる美しい景観を日本ほど無神経に扱っている国はないでしょう。まるで雪舟の山水画の上に鉛筆で殴り書きしたような電線、電線、電線です。
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ここに示した写真は、べつに特別な場所を選んで撮ったわけではありません。近所の散歩の道すがらカメラをちょっと上に向けてシャッターを切っただけです。つまり日本はどともかしこもこのような状態だということです。

鎌倉にも電線埋設をした区域があります。鶴が丘八幡宮から海岸へ通じる若宮大路です。しかし世界遺産を目指す観光都市鎌倉にしてほんの一部だけなのです。ま、電線の埋設が都市の美観上好ましいという意識だけは一応あるわけです。でも玄関だけちょっと掃除してあとは散らかしっ放しというのが現状なのですからまだまだ民度が低いと言われても仕方がありません。
もちろん電線埋設には莫大な費用がかかるでしょう。地方都市だけで解決できる問題ではないかもしれません。東電をはじめとする電力会社にひと肌もふた肌も脱いでもらわなければならないでしょう。しかし原発事故で放射能に汚染された地面をすっかり削りとってもその土の処分のメドがたたないというような滑稽とも言える愚かしさに莫大な費用をかけるのなら、この際思い切って空中の汚れもとってしまったら?
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by love-all-life | 2012-02-17 15:25 | 時事・社会 | Comments(1)

HAND & SOUL「モノ」がたり 86 <船板のベンチ>

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何枚かの瀬戸内の船板などの廃材が手許にあります。2010年に開催された瀬戸内国際芸術祭のお手伝いで訪れた男木島で行われた「島・こころ・椅子」プロジェクトに参加した記念にと、プロジェクトリーダーのWさんから送ってもらった品です。

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湘南に住んでいると、釣り人やヨットマンでないかぎり海の景色というのは1本の線です。ところが瀬戸内海には水平線がありません。視界には点在する島影があり、行き交う船があり、橋があります。歴史や、暮らしや、産業に囲まれている実感があります。ところが周囲の近代化や文明の発展が却って島から若い働き手を吸取ってしまい、男木島は昨年最後の3人の中学卒業生を送り出して以来、島の住人は殆どお年寄りと猫だけになってしまった小さな孤島です。
島にはコンビニはおろか、まともな店一軒ありません。だから新しいもの、キレイなもの、便利なものはありません。しかし何もないわけではなく、古いもの、錆びたもの、汚れたものはいくらでもありますし、ゆったりと流れる時間と自然の営みがあるのです。
つまりジイジにとって男木島は可哀想な離島ではなく宝島だったのです。この島の廃材で再生椅子をつくって「椅子だった椅子」として小ブログで紹介したこともあります。

芸術祭から2年たったこの2月末から男木島文化祭なるものが開催されることになりました。島の住民とニ年前に島のプロジェクトに参加したアーチストたちが一緒になって、島の魅力をアート・文化の面から見直してみようとの企画で、こちらにも声がかかりました。

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ちょうどバアバの「雛展」の展示台として、船板のベンチを2つつくったところだったので、そのひとつを送ることにしました。
厚さ6センチの船板には、組木や釘の跡、はげたペイントやタールの痕跡、そして数えきれないほどの大小さまざまなキズがあります。それはまさに苦節に耐えて生きぬいた島の古老の潮焼けしたシワだらけ皮膚のようです。
島のお年寄りがこのベンチを見たときどんな評価を下すか、そこいらにいくらでも転がっている廃材で安直につくった安物の腰掛けとみるか、誰も省みないと考えていた自分たちの生活の痕跡も見方を変えると、かけがいのない財産なんだと気づいてくれるか、興味津々です。

・ベンチ(手前)1,100mm(W)×230mm(D)×420mm(H)
・ベンチ(奥) 1,400mm(W)×300mm(D)×430mm(H)
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by love-all-life | 2012-02-08 13:10 | 「モノ」がたり | Comments(0)

「雛展」in Galleries in Web

友人のMさんが、こんなすてきなWeb Galleryをつくってくれました。
ジイジはとてもこんな精度の高い写真は撮れません。
どうぞご覧ください。
http://www.mmdesign-jpn.com/kamada3/index.html
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by love-all-life | 2012-02-03 23:24 | 「モノ」がたり | Comments(0)

臨時休業のお知らせ

内藤三重子「雛展」開催のため、HAND & SOULは2月3日(金)、4日(土)、5日(日)は臨時休業となります。悪しからずご了承ください。
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by love-all-life | 2012-02-03 07:08 | 臨時休業 | Comments(0)

「雛展」記事

展覧会場のタンバリン・ギャラリーのブログで紹介された「雛展」報告です。
よろしかったらごらんください。
http://tambourin-gb.blogspot.com/2012/02/blog-post.html

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by love-all-life | 2012-02-02 07:30 | その他 | Comments(4)

「雛展」初日

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6時起床。忠犬同様のパジェロミニにバアバの作品をぎゅうぎゅう詰めに、ついでにバアバも押し込み、展覧会初日の朝、青山のタンバリン・ギャラリーに搬入しました。11時の開場ぎりぎりにどうにか展示を終えたところに最初のお客様が。
若い奥様とお母様がきて熱心に作品を観てくれています。バアバがごあいさつの声をかけると、次男の嫁の村椿菜文が書いた「内藤三重子さんのこと」を読んで興味をもってくださった娘さんが女児誕生で、ご主人のご両親が山口から上京されるのに合わせてお雛様を飾りたいと、母様と作品を見に来てくださったとのことです。

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長い時間をかけて丁寧に作品を観てくださって、「これにしますと」小さな内裏雛を選ばれました。そして「開場でいちばん立派な三段飾りのセットにしようか随分迷ったのです。援助するから母もこれにしてはと言ってくれたのですが、いまの私の力に合ったものにしたかったのです。できればそのうち三人官女や五人囃子を追加して作っていただくことって可能でしょうか?」と言われます。
バアバは「わー、素敵なお話。ぜひご協力させていただきます!」、これは責任重大、長生きしなくては、生きがいをいただきましたと二つ返事です。
お客様の方も、そうすればお雛様とながく一緒だけではなくて、作者とも長いお付き合いができてうれしいですと、これもうれしいお言葉。
昔はあたりまえで、いまはなくなってしまった作り手と買い手のこのような関係、「うれしいね」とジイジ。

バアバの疲れも吹っ飛んだようで、よい展覧会になりそうです。


内藤三重子の「雛展」1月31日(火)〜2月5日(日) TAMBOURIN GALLERY (http://tombourin-gallery.com)
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by love-all-life | 2012-02-01 08:58 | 「モノ」がたり | Comments(0)