HAND & SOUL

HAND & SOUL「モノ」がたり (129) 「ビーズの指輪」

HAND & SOULの店先に来てしばらく中を覗き込んでから「ここは何のお店?」と聞くお客さんが少なからずいます。
「ま、ご覧の通りですよ」と言うほかないのですが、アクセサリーや、お人形や、部屋を飾る小物類や、バッグや、シャツや、石ころや、小さな家具類などが狭い小屋の中にかなり雑然と陳列してあるので、お客さんとして頭の整理がつきずらいのでしょうか。
もともと商才に縁がないとはっきりと自覚しているジイジ&バアバが勝手気ままにつくったものを並べて、お客さんが「わ〜ッ、カワイイ」と言ってくれればそれがいちばんうれしい報酬だと思っているちょっと変な店なのです。

とは言いながら、店の中にはジイジ・バアバの作品以外にも、人さまからお預かりしている作品もある以上、売れなくても平気と済ましているわけにもいかないのです。
そこで商才のない頭が考え出した「目玉商品」があります。それがここに紹介するバアバがつくる「ビーズの指輪」です。
バアバが長年溜め込んだビーズにいろんなモチーフを組み合わせてつくる指輪で、一晩かかって1個か2個できるのです。バアバはこれを1個200円、2個だと300円と値段を付けをしました。バアバより多少欲の深いジイジが「それじゃ安すぎるよ」と異議をとなえると、それに従うどころか手作りの布製の無料の包装袋に入れると言い出しました。
そう言われたらもうジイジとしては指輪と包装を並べてブログ用の写真を撮るほかなす術を知りません。
当然のことながらこの指輪はいま店のベストセラー商品なのです。喜ぶべきかどうか迷うところですが、 バアバは「お店ゴッコよ」とすましています。・・・ネッ、ちょっと変な店でしょ?

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# by love-all-life | 2017-05-14 18:14 | 「モノ」がたり | Comments(0)

81年生

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当ブログの更新が長い間途絶えているので、「どうした?」「身体の具合が悪い?」といった声やら問い合わせ
をいただいています。
いろんな事情があるにはありますが、直接の原因はジイジがお正月に大きな怪我をしたためなのです。
1月2日に冠雪の初富士を愛でようと箱根に行き、老朽ちたデッキの板を踏み抜き1.5メートルほど下のコンクリートの地面に転落してしまいました。腰に激しい衝撃と強い痛みに一瞬「やっちまったー!これで一生車椅子暮らしか」との想いが頭をよぎりました。
救急車で病院に担ぎ込まれ、検査の結果は腰椎の圧迫骨折。ひと月かふた月の入院を宣告されてしまいました。

毎年2月末の「HAND & SOUL展」をギャラリーに頼んで延期してもらい、いくつかの約束をキャンセルし、ひたすら闘病に励みました。といっても当方は何もできないわけで、バアバをはじめ担当医師、看護、介護の方々にたいへんお世話になりました。
マグロのようにゴロリと寝たきりが2週間くらい。なんとか自分でトイレに行きたいと車椅子に座ろうとベッドから足を降ろして驚きました。足に力がなく立てないのです。たった2週間で足の筋肉がすっかり衰えてしまってしまったのです。「人の身体は使わなければ衰える」を実感し・・であれば頭も・・・と心配ばかりが募ります。

この4月でアクシデントから3ケ月。目下コルセット着用ではありますが、お陰さまでほぼ平常に近い暮らしができるまでにまりました。お医者様からは桜の散る頃にはコルセットもとれるよと言われています。しかし全快までには半年かかるとも言われました。でも3月前のマグロ状態にくらべれば天と地の差です。
毎朝のベッドの上での30分ほどのリハビリは欠かしません。やがてやせ細っていた足に筋肉がつき始め、あれができるようになった!これもできた!と、回復という名ではありますが、まるで幼児の頃の成長を追体験するような嬉しさがあります。

桜の満開が待たれる4月、伸び盛りの新しい1年生が生まれます。こちらも残りかすのような老体に幾ばくかの伸びしろを期待して、3ケ月間の春休みを終えて81年生としてカンバックします。







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# by love-all-life | 2017-04-01 11:50 | その他 | Comments(1)

HAND & SOUL「モノ」がたり (128) 「2016年の終わりに」

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2016年も最後の日となりました。今年はほんとうにいろいろありました。
リオのオリンピック・パラリンピックや日本人のノーベル賞受賞のような明るいニュースもありましたが、大方は嫌なニュースでした。多発する自然災害やテロそしてシリアの内戦のような怖いニュースだけでなく、トランプ氏の次期大統領当選や英国のEU離脱のように世界を不安に落とし入れるニュースにも事欠きません。当方としては今年の文字に「金」が決まったのは嫌なニュースでした。
オバマ大統領の広島訪問、そして安倍首相の真珠湾訪問は歓迎すべきことではありますが、大東亜戦争開戦から今回の「一応のけじめ」とされる75年間が、ちょうど当方が物心ついてから物心が失われつつある今日までの期間と重なり、戦争の重みを測る目安として感慨深いものがあります。

暮れのTVを観ていたら、ニューヨークの街頭でレポーターが道行く人に「今年はあなたにとってどんな年でしたか?」とインタビューしていました。
多くの人が「テロが怖い」「トランプが次期大統領に決まったのは許せない」といった類いの、世界の現状を嘆くコメントでしたが、ひとりの老婦人が「世界にとっては酷い年でしたが、私にとっては素敵な年でした」と答えたのが印象的で、何だかすごく救われた気持ちになりました。

今年のHAND & SOULは、お陰さまでというべきか、力足らずでというべきか、全体として何事もなく平穏な日々でした。気力はあるものの技力が追いつかず、いまいち成果物には物足りなさを感じざるを得ないというのが自己評価です。とはいえ、こうして日々創造的な活動に寄り添って暮らせる幸せさを有り難く感じ、ニューヨークの老婦人に習って「世界にとっては酷い年でしたが、私たちにとっては素敵な年でした」と総括したいと思います。

では2017年が皆さまにとって素敵な年でありますように。
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# by love-all-life | 2016-12-31 11:32 | 「モノ」がたり | Comments(1)

HAND & SOUL「モノ」がたり (127) 「クリスマス・クリスマス展」

今年も長岡のギャラリーmu-anから「クリスマス・くりすます展」への参加のお誘いをいただき、地域の元気なアーチストのお仲間に入れていただいてバアバと二人で作品を展示しています。
足掛け15年あまり居住した長岡から鎌倉に帰ってきて8年、県知事さんも変わり、市長さんも変わり、籍をおいた大学も市立大学に変わりと、いろいろな変化があってもいまだ長岡を身近な存在に感じられるのはこのmu-anとの絆のお陰です。今年は作品だけを送っての展示になりましたが、毎年この時期の展示ということもあって、さまざまなジャンルのクリエイティブな楽しい作品でギャラリーが満たされます。
テーマは「小さな贈り物」、HAND & SOULからの作品は以下の通りです。

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バアバの「エンジェル人形」です。泰西名画の白衣の天使とちがって、どこかヒト癖もフタ癖もありそうな天使です。「ヒトは皆どこかで天使よ」というメッセージかも。
家の周辺の葛の蔓、沼津海岸で拾った流木とバアバが溜め込んだ膨大な古布のコレクションが材料です。

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静岡県沼津市の千本浜は、かって歌人若山牧水等の自然保護運動があって保たれた長い砂防の松林が続き、波打ち際まではすべて小石で、いつ行っても流木が散乱し、背後には富士山がそびえる美しい海岸です。そこで拾った小石と流木を材料にしたメッセージ額です。
「LESS IS MORE 」(左)は、20世紀の近代主義建築のコンセプトを確立した巨匠ミース・ファン・デル・ローエの言葉ですが、俳句や水墨画などの日本独特の省略の美意識とも通じますし、飽満な消費文明への警句としてもジイジが大切に感じている言葉です。
「LOVE NATURE」(右)、一見大いなる混沌・融通無碍に見えながらすべてを包み込む秩序であり、限りない恵みでありかつ厳格な戒め、そして究極の美の源泉である自然、それははHAND & SOULにとって神なのです。

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野地板という最も廉価な杉板でつくった「壁掛け飾り棚」です。バアバが企画しましたが,肘の故障で思うように作業ができないのでジイジが製作した共同制作です。  

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チーズの空き箱に熱した蝋を流し込んで、固まる前にメッセージをスタンプした小石を埋め込んでつくった「STONE CANDLE」です。
昔、終戦前後に停電がよくあり、使い残したロウソクの破片を集めて缶詰の空き缶に入れて溶かし、ロウソクの代用の照明にした記憶が発想の原点かも知れません。クリスマスディナーのテーブルに、ちょっと特別な雰囲気を演出してはとの提案です。

では、みなさま Have a Merry Christmas!
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# by love-all-life | 2016-12-14 17:10 | 「モノ」がたり | Comments(0)

HAND & SOUL「モノ」がたり (126) 「ボブ・ディランのポスター」

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13日夜リビングルームでテレビを観ていて「2016年のノーベル文学賞はボブ・ディラン氏に決定」のニュースに、思わず壁に掛けてあるボブ・ディランのポスターに「乾杯!」のエールを捧げました。
日本での大方の関心が村上春樹の受賞成るかに向けられていただけに、一瞬の意外感はあったものの、次の瞬間に「うん、なるほど」と納得した人は少なくなかったのではないでしょうか。
20世紀後半から今世紀にかけて、これほど多く詠われ、地域を越えて人々の考え方や、行動に少なからざる影響を与えた「詩」があっただろうかと考えると、多分この文学賞を決めた後に起るであろう反発も織り込み済みで賞を決定した審査員にも賞をあげたくなりました。

1967年、外資系広告代理店で駆け出しのアートディレクターだったボクは、思いがけなくも提携しているニューヨークの広告代理店で研修するよう命じられました。当時先進的とされていたアメリカの広告づくりの現場を見てこいとのことでした。
自分の英語能力のへの大きな不安と、憧れのハリウッド映画の世界に直に触れることへの大きな期待、両方を携えての初めての海外旅行でした。
ニューヨークに降り立った第一印象は「あっ、見たことがある!」という既視感でしたが、肌に触れる大気の感触、匂い、地鳴りのような遠い音、聞き慣れない街の喧噪やすぐ近くの会話の声などが加わることで成り立つ臨場感はスクリーンの世界とはまったく異なった、「来たのだ」という気持ちの高まりを呼び起こしました。
いざマンハッタンの街を歩くと、既に爛熟期に入っていたアメリカの消費社会に反発するヒッピーたちの姿をいたるとこで見かけましたし、セントラル・パークやワシントンスクエアーではベトナム戦争に反対する長髪の若者達がたむろしてしていて、彼ら周囲のいたるところにピースマークやマリワナのビジュアルシンボルがちらちらしていました。ところがある日曜日の五番街で行われた在郷軍人会が主催したデモはベトナム戦争支援を標榜し、「WE PROUD OUR SON IN BIETNAM.」と大書した横断幕を通り一杯に掲げて延々と続く長蛇の大パレードでした。こうした一筋縄では行かないアメリカの混沌や矛盾や苦悩をややけだるい旋律と詩で歌い上げたのがボブ・ディランの「Blowin’ In The Wind」で、いまでも当時を懐かしむボクの思い出のニューヨークではいつもこの曲が流れています。

世話をしてくれるクリエイティブ・ディレクターの秘書が用意してくれるスケジュールに沿って、アートディレクターやコピーライターたちと会って質問したり、プレゼンテーションを受けたり、社内会議やクライエントへのプレゼンテーションを傍聴したり、コマーシャル製作の現場を見学したりといった日々でしたが、希望すれば美術館巡りをしたり、見学と称して、急遽呼び寄せた妻の三重子を伴ってデパートやファッションスポットやギャラリーを徘徊したりと、かなり自由気ままな行動も大目に見てもらえました。
そんなある日、ボクがニューヨーク流おしゃれを最も体現していると感じて大好きだったプッシュピン・スタジオを紹介状をもらって訪れました。社長のミルトン・グレーサーに迎えられて、スタジオを案内してもらい、ポール・デービスやシーモア・クワストなど、日本ではなけなしのお金をはたいて買った洋書のページでしかお目にかかれなかったあこがれのアーティストたちに会って直に話を聞き、こちらの英語能力から多分半分くらいしか理解できなかったとしても、残りの半分を想像力で膨らませて、満ち足りた時間を過しました。
見学を終え別れ際にミルトン・グレーサーが、スタジオでデザインした代表的なポスター10数枚をぐるぐると巻いてお土産に手渡してくれました。そしてそのなかにボクが大好きなボブ・ディランのポスターが入っていたのです!
以来50年間、ニューヨークから東京の事務所、鎌倉の自宅、その後新潟へ、再び鎌倉へと、いつもボクの暮らしのスペースのどこかに掲げてきたのがミルトン・グレーサー作のこのボブ・ディランのポスターであり、それ故にこれはボクの青春の一部なのです。
ボクが今年のノーベル文学賞の発表でポスターのボブ・ディランに向かって乾杯した気持ちがわかるでしょ。
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# by love-all-life | 2016-10-16 12:00 | 「モノ」がたり | Comments(0)