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HAND & SOUL

がんばれニッポン

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昨夜遅く友人との会食から帰ってテレビニュースをつけたら、原発事故以来、公演やイベントを取り止める外国人アーティストなどが続出するなかで、あえて日本公演を決行した世界のマエスロ、プラシノ・ドミンゴ(70歳)の公演の様子をレポートしていました。
「なぜいま日本公演なのですか?」というキャスターの問いに、「いままで私を応援してくれた日本への感謝と愛のしるしです」と答えていました。
1985年のメキシコ大震災では3人の近親者を失い、瓦礫のなかをさまよった経験をもつ彼は、こうした災害の痛みを人一倍強く感じるとも語っていました。
美しい声にいつも温かい人柄がにじみ出るドミンゴさんですが、昨夜はライオンのような顎ひげを蓄え、ややうるんだような眼で唱い上げる彼の姿にはたしかに慈愛が感じられました。
最後に(・・・だったと思いますが)、譜面を見ながらややたどたどしく日本語で唄った「ふるさと」には、中越大震災1周年の式典のときに山古志の小・中学生が唄った「ふるさと」に、おもわず涙腺がゆるんでしまった記憶が甦りました。


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NHKのニュースは続いて、日本文学研究者で3年前に文化勲章を授章された、米国コロンビア大学名誉教授ドナルド・キーンさん(88歳)が日本国籍を取得し、日本永住を決意したことを伝えていました。キーンさんは今月末に行われる講義を最後に大学を退職する予定で、その後、日本に移り住んで研究生活を続けるということです。
今年に入って日本国籍の取得を考え始めたそうですが、東日本大震災が発生したことを受け、「今こそ力になりたい」とさらに思いを強くしたということです。
「『奥の細道』の地が大波に呑まれる映像を見て本当に衝撃でした」と語り、「震災があって、私は今こそ外国人は日本の未来を信じて日本人とともに生きたいという気持ちを示すのは、国籍を得ることだと思いました」と話しました。
88歳で祖国を捨て、新たな国籍を得るというのはどういう覚悟なのだろうか。災害で苦しむ人々に徹底的に寄り添う態度で示す支援としてこれほどの強いメーッセージはあるだろうかと感動を禁じ得ません。

この老いた二人の世界の才能と知性が示してくれた勇気と人間愛に、この一月間のごたごたバタバタをしばし忘れ、温かいものが身体を流れるのを感じ、本当の支援とはこういうものではないかと思い知りました。
by love-all-life | 2011-04-16 21:38 | 時事・社会