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HAND & SOUL

色狩人

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孫娘が3才の頃だったでしょうか、家族で古い白黒写真を懐かしがって見ていたら、横から「この頃は世の中にまだ色がなかったの?」と質問したのに、一同一瞬あっけにとられ、のち大笑いといったことがありました。ジイジ・バアバが日頃、「昔は違った」「こんなじゃなかった」と言っているものですから、昔は色のない世の中だったのかと思ったようでした。その彼女もいまはもうそろそろ色気も出ようかという6年生です。

私たちは色の中に生まれ、色とともに暮らし、色が消えて死んでいきます。私たちは色なしで生きることはないのに、何か格別の理由がなければほんとんど空気や水のようにその存在すら意識することが稀です。
そんな「色」のひとつひとつにもっと真剣に向き合ってみようと、世界各地を回ってわれわれの環境に存在する無数の色から任意に選択した自然や都市のなかの色を、絵具でパレットの上に再現し、色のもつ意味や役割について改めて考え、さらに創造的な社会づくりのきっかけをつくろうという試みを続けているのがデザイナー・藤原 大*です。
彼はのこの独自デザイン手法を「カラーハンティング」と名付けました。
この6月21日から東京ミッドタウンの21−21デザインサイトで藤原 大のディレクションによる「色からはじめるデザイン『カラーハンティング展』が開催されます。

彼から今回のカラーハンティング展をディレクションをするに当たって、バアバに作家としての参加の依頼がきました。内容は、彼がハンティングしてきた八ヶ岳の自然の色10色をベースにしてお雛様をつくって欲しいというリクエストです。「何でこの時期にお雛様なの?」というバアバの質問に彼の答えは「ハンティングした日が3月3日だったから」でした。
藤原さんからの頼みでは断るわけにはいかないと、バアバはとても張り切って、異例のスピードで制作に励みました。会場がいつもお雛様を飾る場所に比べて各段に広いので、いつもの倍以上ある大きな作品ですが、一昨日、完成品を会場に展示に行ったら、なんと一番乗りでした。

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目下、初日を控えて会場設営で大わらわのはずですが、「カラーハンティング展」がどんな色の世界、どんな提案があるのか、とても楽しみです。


「カラーハンティング展」 www.2121designsight.jp

*藤原 大/1992年、中央美術学院山水画科(北京)留学。94年、多摩美術大学美術学部デザイン科卒業後、三宅デザイン事務所入社。98年三宅一生と共に「A-POC」プロジェクトをスタートさせる。「A-POC」にて2000年度グッドデザイン大賞、03年度毎日デザイン賞を受賞。06年、ISSEI MIYAKEクリエイティブディレクターに就任(〜11年)。08年、株式会社DAI FUJIWARA設立。国内外でクリエイション活動を活発に展開する。京都造形芸術大学、多摩美術大学客員教授。
by love-all-life | 2013-06-14 14:56 | 文芸・アート