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HAND & SOUL「モノ」がたり(123) 「バアバのボロ人形」

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これはバアバの最新作のボロ人形です。決してクサして言っているのではありません。
「こんなの作っちゃった」とバアバが手にしている人形に「何人形?」って訊いたら、「ボロ人形」って答えたのです。「ちょっと可哀想だよ」と人形に同情して言ったら、バアバは「私の分身なんだから」とややふてくされ気味に言いました。
近頃のバアバのクセなのです。自分のオフィシャルな年齢と気分年齢のギャップは依然として大きいのに、日常の暮らしではそのギャップが狭まりつつあるのを感じるのがシャクに触るらしいのです。

バアバはこの人形を家にあった廃材のかけらからつくりました。人から見れば腐りかけた古材の破片ですが、われわれにとっては決してただゴミではないのです。


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5年前にご近所のアーチストNさんに誘われて、瀬戸内国際芸術祭のプロジェクトにお手伝いとして参加しました。
作品づくりは高松港から連絡船で小1時間の「男木島」というところです。周囲4キロくらいの小島で、食堂が港に1軒、港を見下ろす丘に1軒。スーパーと呼ぶのがはばかれるほど小さな店が1軒。廃校になった小学校と廃校寸前の中学校、郵便局と港の反対側に小さな灯台があるだけで、住人といえば最後の中学生3人と老人とネコだけといった、まぁ、不便この上ない分、今となっては得難い魅力たっぷりの島でした。
いたる所に廃屋や、打ち捨てられた廃材や漁具が転がっていて、島全体として長年の潮風に晒された流木のような風情を醸し出しているのですから、ジイジ・バアバにとってはまさに宝の島でした。
島を去るとき、地元の方にお願いして送ってもらった廃材を大切に作品づくりに使っているのですが、そのまた残りかすの材木片にバアバが命を与えたのがこの「ボロ人形」というわけです。

古いもの、汚いもの、役立たずになってしまったものになにがしかの価値を与える。ときにはそれが人さまの心を動かすことができればほくそ笑む。それが私たち老鳥の生きがいであり、存在証明でもあると感じています。


「ボロ人形」内藤三重子作 (身長約19cm)  ペアで ¥7,000


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by love-all-life | 2015-09-26 13:29 | 「モノ」がたり