HAND & SOUL

EMOJI広告 出現

ゼネラルモータース(GM)が2016年型「シボレー・クルーズ」の登場を告げるプレスリリーズをすべて絵文字で表現して発表したというニュースを新聞で知りました。

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この文章(?)を絵解きするのは、絵文字を使い馴れている若者諸君にとってもそう簡単なことではないでしょう。
ま、こんなチンプンカンプンのメッセージを発信したGMの「こころ」は「新しい2016年型シボレー・クルーズを言葉だけで説明することはできません」ということのようです。しかし真意は新車に対しての話題性と広告文の内容についての強い関心を喚起しようとするしたたかな広告戦略に違いありません。その証拠に、GMは翌日にちゃんと翻訳テキストのプレスリリースを発表しています。

当方がこのニュースに興味をもったのは、絵文字が最早こんな風にコミュニケーション・ツールのひとつとしての新しい姿を得つつあるという現象に対してです。たしかに、このGMの広告文は、誰も読解できないことを逆手にとった面白さという意味では絵文字の限界を示した例と言えなくもないですが、絵文字が日向に躍り出た出来事ではあります。

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そもそも絵文字は、古代エジプトのヒエログリフをはじめとして、人類が情報を伝え、残す手段として、文字より古くから使ってきたものです。近・現代の国際化にともなって民族的な言語を越えた情報伝達手段として交通標識やオリンピックのような国際的な場ではピクトグラムとして一定の役割を果たしています。
今回驚いたのは(当方のような老鳥だけかもしれませんが)、「絵文字」は「MOTTAINAI」や「TSUNAMI」や「MANGA」のように「EMOJI」として日本の風土・文化が生み出した国際用語となっているということでした。

WEBの情報伝達が視覚的であることは言うまでもありませんが、モニター上の光る文字を長時間読む煩わしさは歳のせいばかりではないと思うし、ましてスマホの小さな画面ではいきおい文章は短絡的だったり省略が多くなりがちだし、情感的表現にもなじまないと感じる人は多いでしょう。その点、例えばバナナの「絵」を見せれば「バ」「ナ」「ナ」と3文字使わなくても済むし、「笑顔」の絵文字ひとつが、相手に長い文章に匹敵する発信者の気持ちを伝える効果を期待できるのです。そういう意味で絵文字は、単純化したり省略することによって相手からより多くのアウトプットを引き出すという、日本特有のコミュニケーション作法と通ずるところがあり、俳句的でありマンガ的であると言えなくはないと思うのです。

GMのこの広告は米車を売るのに日本発のEMOJIを使うという懐が深いというか、思いがけない切り口ですが、近頃の日本のテレビCMの消費者の感性や知性を踏みにじるようなえげつない使用前・使用後の表現に比べると、この広告の方がはるかに消費者の知性やユーモアセンスを前提としてつくられたものと言えるのではないでしょうか。



因に、残ながら絵文字画像が不鮮明ですが、絵文字解読と英文に自信のある方のために、翻訳英文を掲げておきます。

DETROIT-In two days at the Fillmore Theatre at 7 p.m., a new Cruze will be born and you are going to love it.

The all-new 2016 Cruze blends innovative technology, striking design and impressive efficiency into one sporty ride.
It’s the best new thinking since sliced bread for stylish and socially connected people. A Chevrolet spokesperson said:
“We had the idea that the new Cruze could change the world..”

• Design: Athletic build, stylish and good looking.
• Technology: 7 connected devices with available 4G LET Wi-Fi. Cool First in its class to offer compatibility with Apple CarPlay and Android Auto. Bluetooth compatible. Touch screen. Speakers/music.
• Seating: Seat 5
• Fuel efficiency: The 2015 Cruze offers an EPA-estimated 35 mpg hwy. The 2016 Cruzu is expected to offer better fuel economy, which is awesome. Look at how much time will pass before you need to fill up your tank again!
• Safety: 10 air bags. Comes with OnStar standard for 6 months.
• Available: Soon! Coming in Spring 2016.
• Available: Globally

In conclusion, get ready to go places in your Cruze. It has the technology and fuel efficiency you need wrapped up in a fun ride. Prepare to fall in love.

Follow #ChevyGoseEmoji to learn more and join the fun!

Founded in 1911 in Deteroit, Chevrolet is now one of the world’s largest car brands, doing business in more than 115countries and selling around 4.8 million cars and trucks a year. Chevrolet provides customers with fuel-efficient vehicles that feature engaging performance, design that makes the heart beat, passive and active safety features andeasy-to-use technology, all at a value. More information on Chevrolet models can be found
at http://www.chevrolet. com.










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# by love-all-life | 2015-06-26 17:09 | 時事・社会 | Comments(0)

義兄の人力ヘリコプター

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「シコルスキー賞」というのをご存知でしょうか?
レオナルド・ダ・ヴィンチが考案したヘリコプターの飛行の原理を実現しようと、アメリカ・ヘリコプター協会が1980年に設立した賞で、ヘリコプターの父とも言われるイーゴル・シコルスキーの名前をとって名付けられました。
「人力で60秒間以上」「一度は3メートルの高さに到達し」「10メートル四方の範囲内に機体を制御する」ことが条件で、賞金は25万ドルです。

何でこんな話を持ち出したかというと、近頃話題の多いドローンなる飛行物体が、6年前に他界した義兄(ということはバアバこと内藤三重子の実兄です)が日大工学部の院生を指導しながら開発し、あわやシコルスキー賞か!というところまでいって注目を集めた人力ヘリコプターと外形が良く似ているからなのです。

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義兄・内藤 晃は、太平洋戦争末期に東大で流体力学を学んでいましたが、空軍士官であった長兄が帝都防衛で戦死したことで戦後は航空の道には進まず、エンジニアとして世界初の自動エンジンの車や、農地での種の空中散布用ヘリコプターの開発に携わったりしていました。定年後になって大学で教鞭をとる傍ら、空への想いは止みがたく人類未踏の夢のヘリコプターを目指しシコルスキー賞に挑んだのです。
義兄が考案した、人がペダルを漕ぐ力で4つのプロペラを回転させ浮力を得る人力ヘリコプターは、現物は相当大きなものですが、彼が書斎でつくっていた模型は、最近テレビなどで見る首相官邸に転げ落ちたドローンと良く似ていました。
義兄の人力ヘリコプターとドローンの間にどのような技術的な関係があるのかないのか当方には皆目見当がつきませんが、そのころ彼はマサチューセッツ工科大学などのライバル・チームがいる研究機関へ講演や会議に出かけたりしていて、彼の研究が相当先駆的なものなのだろうとは感じていました。
彼は2008年に愛妻の名前をとって名付けたYURI-1号で最後の人力ヘリコプターの飛行実験を行いました。機体は実際に浮上し、あわや達成かと興奮しましたが、浮上時間20秒で条件のクリアには今一歩届きませんでした。その後しばらくは受賞に最短距離にありながら2009年に88歳で他界しました。

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その後シコルスキー賞は、義兄の死から4年経った2013年にカナダのトロント大学のチームによって達成されました。
先日NHKのTV番組「サイエンスZERO」でその時の様子を見ることができましたが、受賞者の喜びの弁で「われわれはYURI-1のアイディアに啓発された」と述べているのを知って、当方も何とも言えないような達成感を味わった気になりました。

いまドローンがまるでテロの凶器であるかのように危険視される一方で、新しい産業革命の寵児として「打ち出の小槌」でもあるかのように騒がれてもいますが、科学技術のシーズが研究者の手からうまいカタチで人間社会に引き継がれることの難しさを痛感するにつけても、ひたすら「飛ぶ夢」だけを追い続けた義兄は幸せだったと思わずにはいられません。


写真:NHK映像







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# by love-all-life | 2015-05-29 10:31 | 時事・社会 | Comments(2)

国民主権の謎

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5月3日憲法記念日。朝刊の憲法関連記事に目を通していて、『改憲派 衆院議員8割 有権者は3割』との見出しに「ん?」と目を留めずにはいられませんでした。
内容は「朝日新聞社と東京大学・谷口将紀研究室が昨年末の衆院選に合わせて実施した共同調査では、憲法改正に賛成した人は、衆院選で当選した議員で84%に上る一方、有権者では33%にとどまった。改憲に反対する人は、議員で10%にとどまり、有権者では30%で賛成とほぼ並んだ。」(後略)

さて、そもそも国会議員とは有権者の意思の代弁者として選ばれる人ではないのか。ところが議員は憲法改正賛成といい、有権者はそうは思っていない・・・両者の改憲への意思がこれほど違うのはどこかヘンです。
候補者が有権者を騙したのだろうか?自分の本心を隠して当選したのだろうか?自分の意思の代弁者を見誤るほど有権者が愚かなのだろか?代議員制度そのものに欠陥があるのだろうか?それとも運用の仕方に問題があるのだろうか?

国民主権を定める現憲法をめぐって、国民の意思がないがしろにされかねないこの現象は悪い冗談ではすまされません。政治に暗い当方としては途方に暮れるばかりです。誰かこの謎解きをしてください。

因に5月3日は「ゴミの日」でもあるそうな。有権者の意思がゴミのように扱われないよう願う日かしらん。








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# by love-all-life | 2015-05-04 07:53 | 時事・社会 | Comments(0)

段ボールの上のワンダーランド

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「えっ、これでも春?」というような薄ら寒い曇天がつづくなか、ぽっかりと陽光を得た先週の土曜日、三浦半島で最も高い大楠山の山懐の有機農園で開かれたフォトスタジオのワークショップに参加しました。

フォトスタジオといってもかっての写真館風のものとは打って変わった、米国西海岸のリゾートハウスのような開放的な空間で、若いファミリーが勝手気ままに楽しむ自然な姿をパチパチとデジカメに収めるといった、機材の進歩がもたらしたビジネスモデルで近頃人気のスタジオの3周年記念行事のお手伝いとしての参加です。
当方のお役目は、段ボールの台紙にいろいろな素材を貼付けて絵をつくるコラージュづくりのワークショップの指導です。
70組ほどの参加ファミリーはほとんどが未就学児連れのパパママやおじいちゃんおばあちゃんの小グループで、以前このフォトスタジオで撮影したお客さんたちですが、彼らはまた子どもの成長につれてリピーターとなるであろうお得意さんでもあるわけです。

イベントの企画の段階では「コラージュ? 何それ」といった戸惑いの声もありましたが、「大丈夫、子どもはみんな表現の天才なんだから」と当方が意見を出してやることが決まりました。
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色紙、各種テープ、リボン、新聞紙、、ボタン、種といった用意された材料の他に、子供たちは葉っぱや、小木片や、ドングリなどを周りの自然から探してきてはベタベタと遠慮なく台紙に貼付けます。接着材として用意したボンドも歯磨きのようにひねり出して白い山をつくり、小枝を貼付けるだけではもの足りず台紙に穴をあけて垂直に立ててしまったりと遺憾なく天才ぶりを発揮します。
なかでも3歳のユカちゃん(仮称)は、摘んできたたタンポポの花を台紙に貼付けましたが、そこへミツバチが飛んできて止まって動かず、作品の一部に成り済ましたのには、なんでもありのコラージュの極地を見る思いでした。

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こうした子供たちの奇想天外な発想や大胆さは、教育を受け、分別をもち、社会性が身につき、大人になるに連れて先細っていくのが常です。
小林秀雄は真の芸術家は大人になっても幼児性を失わないものだと言っていますが、天才ならぬ分別臭い凡人が天衣無縫な幼児性を取り戻す、いわば逆教育といったものがあり得るのだろうか、この二律背反を一身に併せ持つとはどういうことかと考えてきて、ハッと「これこそがデザイナーにとって最も大切な資質ではないか」と気づきました。なぜならデザインとは合理性と感性、用と美を、ひとつのもののなかに同時に実現する行為だからです。

段ボールの台紙をワンダーランドに変えてしまった、あの子供たちの才能がいつまでも消え去らずにいて欲しいと祈らずにはいられません。








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# by love-all-life | 2015-04-22 11:44 | 文芸・アート | Comments(0)

ある小さなスズメの記録

バアバが買って来た何冊かの本の中から、何気なく一冊を抜き出して読んだら、それが実に驚くべき内容だったので、ご紹介することにしました。
「ある小さなスズメの記録」クレア・キップス著/梨木香歩訳/文春文庫で、副題の「人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクレランスの生涯」が示すように、巣から路上に落ちて瀕死の生まれたての小スズメを拾った英国人女性が、家で介抱したことがきっかけで始まった、ピアニストで寡婦のクレア・キップスと障害のある小スズメの同棲生活の記録です。

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後にクレランスと名付けらるこの小スズメは羽と足に障害があり、多分生き延びることはできないとの親鳥の判断で巣から故意に落とされたらしいのです。
自宅の玄関先に赤ん坊が置き去りにされていたら見捨てるわけにはいかないといった気持ちから、クレアはスズメを拾い上げ、温かいフランネルで包み、閉じたままのくちばしにマッチ棒の先端をそっと差し入れて開いたままの状態にし、小さなのどから数分ごとにわずかのミルクをたらし込むという作業を忍耐強くつづけるうちに、スズメは少しづつ命の証しを表し始め、翌日になると餌をねだるまでに回復します。
三日目になると、それまで閉じたままの出目に裂け目ができで両眼を開きました。彼はまだ鳥というものを見たことがなかったので、目前にいるクレアを何の疑いもなしに自分の保護者として自然に受け入れます。
それ以来、彼はクレアの枕の上に置いた古い毛布の手袋の中で眠り、夜明けにチュンチュン騒いでクレアの髪の毛を引っ張って起こしては、朝食をせがむまでに元気になります。

クレアはいずれ彼が元気になったら外へ放してやるつもりでしかが、左の翼が十分に機能しないことが明らかになり、羽をバタバタさせ這い回ったり、ピョンピョンと跳び歩くことしかできないので、野生化への試みは断念せざるを得ませんでした。
そのようにして始まる彼らの日常はこんな具合です。
「彼が自分で食事ができるようになると、すぐに私は安全な部屋の中に彼を残して出かけた。室内の隅には、食べ物とミルクを置いておいた。彼はほどなく私の声や足音、ドアの鍵を開ける音すら聞き分けるようになり、私が帰ると大騒ぎで出迎えた。彼のいる部屋のドアを開けた途端、文字通り飛ぶような勢いでやってきて、興奮気味にしゃべりたてながら私の脚をよじ登り、膝を越え、肩へと到達、最後に私の顎や襟のなかに潜り込むのだった。」

ここまでなら、上手に飼いならした愛鳥と飼い主の関係でも起こりうる話といえなくもありませんが、やがて彼は芸を覚え、ヘアピンを引っ張る綱引きを演じたり、トランプカードを使った手品など演じて、第二次大戦のドイツ軍の空襲下で殺伐としたロンドンの街でちょっとした有名人(?)となり、とりわけ子供たちの人気の的でした。さらに彼は音楽家としての才能を開花させます。ピアニストのクレアが弾くピアノに合わせて歌うのです。それは単なる小鳥のさえずりを越えた音楽的意味のある声でした。

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こうした見せ物的なびっくりするような才能に加えて読む側に感動を呼び起こすのは、クレアとクレランスの感情的、心理的、精神的な関係でしょう。彼らは慰め合い、喜び、疑い、嫉妬し、励まし合う、お互いがお互いを必要とする人間同士のようです。
やがてクレランスは老い、輝いていた数々の能力が失われていき、最後はクレアの手のひらの中で小さな一声を残して12年の生涯を静かに閉じるまでを克明に綴った本書は、奇跡というものの存在証明でもあるかのように感じられます。


ところでわが家では6年来二羽のジュウシマツを鳥籠で飼っています。人を恐れることはありませんが、家人は毎日餌をやり、水を取り替え、ときどき声をかけ、鳥たちは応ずるような応じないような間柄です。
クレアのクレランスについての記録を読んで以来、恐らくこのジュウシマツたちの体内にも秘めた感情、知力、数々の能力が潜んでいるに違いないと思うと、何だか彼らにとても気の毒なことをしているように感じ、彼らは退屈しないのだろうか、嬉しいのだろか、悲しいのだろうか、幸せなのだろうか、考え込んでしまいます。

写真:本書より







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# by love-all-life | 2015-04-01 00:03 | 文芸・アート | Comments(0)